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事件が起こったのは、三日前。
詳細は聞いたけれど、衝撃が多すぎてほとんど覚えていない。ただ聞き取れたのは、追い詰められた末に孤児院に立てこもった彼らが人を殺めたという事実。
それも、警察の人に聞いた話では被害者は一人だけではないという。孤児院の院長、そして職員……少なくとも被害者は三人は居るという。二人は遺体も確認されているそうで、私はそれを静かに聞いていた。
「(……ほんとに、なにがあったの？どうして彼らがそんなことを……？)」
昔はみんな虫一匹殺せないような、優しい子だった。よく笑ってよく泣くような素直な子だった。そんな薄情なことをするような、性格じゃなかった。
だから、どうか間違いであってほしい。
何年離れていても、私たちは家族なのよ。私は、みんなを信じたい。
▽
▽
「(……来てしまった)」
人質がいるとなると一刻を争う状況らしく、私は話を聞いた数時間後には現場に連れてこられていた。
すぐそこにある黄色のテープで囲われて立ち入りが禁止された建物は、間違いなく私が幼少期をすごしたあの孤児院で、少し薄汚れた白い壁も、玄関先にある女性の銅像も、揚々と茂った芝生も、すべて昔の記憶と相違ない。
本当に、ここが事件現場になってしまったのか。現実を受け止められなくて、私は思わず目の前にまで迫った孤児院を前にして、下を向いていた。どうしてこんな事になってしまったのだろう。
どうして優しかった彼らが殺人なんて起こしたのかという疑問は脈々と根を伸ばしていき、遂には私が承諾の返事を出すまでに成長してしまった。だから、私は警察の人達と一緒に彼らを説得するために現場まで来たのだ。危険も承知の上で。
規制線の張られたその場所は、まるで私が知らない場所のようだった。昔感じていた活気ある雰囲気は消え失せ、今は悶々と殺伐とした空気が辺りを支配している。
今まで生きてきた中で感じたことのない緊張感に、私はぐっと生唾を飲んだ。プレッシャーに押し潰された胃が痛い。喉に何かがつっかえているみたいだ。肺を重たくするような空気が息苦しい。
「Aさん、参りましょう」
「……はい」
催促に対して私が返した言葉は、あまりに頼りなく弱々しいものだった。
私は、久しぶりに対面する幼馴染みたちに対してどうやって声を掛ければいいのだろう。私なんかに、説得なんてできるんだろうか。
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白雨(プロフ) - カエデさん» ありがとうございます〜！私の言葉で少しでも勇気を与える事ができていたら嬉しいです。カエデさんの人生がいいものとなりますように、陰ながら祈らせていただきます🍀 コメントありがとうございました◎ (4月22日 20時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！私もなにかと周りの大人に色々と狂わされた10代だったので凄いぐっときました。今はまだ人生立て直しを模索中ですが、白雨さんのあとがきで勇気をもらえました！ありがとうございます！！本当にめちゃめちゃ面白かったです！！ (4月21日 23時) (レス) @page50 id: fc5654a0ec (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - こゆきさん» コメントありがとうございます◎ 来月くらいには完結すると思いますので是非最後までお付き合い下さいませ〜！ (1月9日 23時) (レス) @page17 id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - めっちゃ面白い！続きがすごく気になる、、、 (1月9日 14時) (レス) @page17 id: fe749953cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作者ホームページ：愛故のメリーバッドエンド。
作成日時：2023年12月14日 20時
