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そんな心臓の悪い坂田さんの言動にどきどきしていると、不意に彼が私の方へ歩いてきて、何故か私のブレザーのジャケットを脱がそうとしていることに気づいた。

変に思っていると、ジャケットを脱がしてからも引くことのないその手は次にリボンの方へ伸びていく。その男らしさがありながらも白く綺麗な手で解かれていく制服のネクタイは、解けると同時に床にはたりと落ちた。

しかし坂田さんはそこで止まることなく、ついには私のブラウスに手を掛けた。一瞬だけ思考が停止した。何やってるのこの人。坂田さんはボタンの外し方が分からないのか困っているが、私はそれどころではない。え、もしかして私脱がそうとされてませんか。

坂田さんがやろうとしていることを察してしまい、私は焦りのあまり思い切り大きな声で叫びながらその体を突き飛ばした。


「なんやねんこれ、全然取れへんねんけどどうやって脱がすん。なんか丸いので留まっとる、し……ッ?!!」

「い、嫌!!近寄らないでください!!」

「えっ……そんな言い方せんでも……」


近寄らないでという言葉と共に突き飛ばされて拒絶されたことに対してかなりショックを受けたらしい。坂田さんは少し離れたところで呆然としながら立ち尽くしていた。

だけどショックを隠しきれない表情を浮かべているのに、坂田さんはこんな時でも瞳を潤ませながらこちらを愛らしさを感じさせる目で見ていた。その姿はまるで子犬だ。その愛らしさに押されて一瞬たじろいでしまうが、私はハッとしてすぐに彼を睨みつける。

自分の中ではかなり頑張って怖い顔を作ろうと睨みつけたのに、坂田さんはなぜか「え、かわいい」なんて言いながら目をぱちぱちと瞬かせてこちらを見ていた。こっちは大真面目なんですが?!


「………変態」

「え……えぇ……?なんで?なんでそんなこと言うん、A」

「だって坂田さん、服脱がそうとした」

「それのなにがだめなのー!俺ら夫婦になる仲なんやし、こんなんで恥ずかしがってたら身持たんくなるよ!初夜とかどうすんの!」

「は?!しょ……?!!」


まさかの単語に、私は動揺して顔を真っ赤にさせていた。

顔が熱いけど、仕方ない。男を知らない生娘なのだ。私はまだなにも知らないのだ。


「(……あれ、違う、私は知ってる、……?)」


不意に私の頭に"存在しない"はずの記憶が浮かぶ。顔を真っ赤にしながら私に愛を囁く坂田さんが、熱を孕んだ瞳で私を見つめながら優しく口付けてくる。そしてその手は私が身に繕っている着物を脱がしていた。

これは、誰の記憶……?

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李 雨月(プロフ) - かわいい私が好きさん» その言葉がいただけて字書き冥利に尽きます(照) タイトルもこだわっているので褒めていただけて嬉しいです。コメントありがとうございました〜! (2022年11月8日 22時) (レス) id: 8fe15b8549 (このIDを非表示/違反報告)
かわいい私が好き - 題名だけでドタイプを貫いていたので覗いてみたらもう最高の作品に出会いました👐✨これからも読み続けます😉 (2022年11月4日 20時) (レス) @page12 id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - みこさん» 一コメですよ〜!面白いと言っていただけてとても嬉しいです!コメントありがとうございました◎ (2022年10月17日 0時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
みこ - 一コメ、、、?めっちゃ面白いです!ありがとうございます!更新楽しみに待ってます! (2022年10月10日 15時) (レス) @page11 id: 3112c05530 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白雨 | 作成日時:2022年9月19日 21時

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