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ほっぺに、ちゅーされた。
それに気づいてしまい、私はわなわなと震えながら顔を真っ赤にしてまるで信じられないものを見るかのような目で坂田さんを凝視した。なんならもう睨んでいたような気すらする。
「なにその顔、かわいすぎ」
「っ、か、からかうのやめてもらっていいですか？！」
もう下ろしてください！と言って暴れるけれど、坂田さんはただ上機嫌なまま楽しそうに笑うだけで私の言葉など聞いてもくれなかった。どうしても勝てない男女の力の差が憎い。
くそう、一瞬でもこの人をかわいいと思ってしまった自分も憎い！！坂田さんってただ意地悪なだけじゃん！！
▽
▽
「もー、いい加減機嫌直してってばぁ。ごめんって言ってるやんかぁ」
自分が悪いなんて微塵も思っていないであろう坂田さんはそう言いながら、椅子に座って膨れている私の頬を指先でつんつんとつついていた。
彼の目的である坂田さんが所有している着物店に到着したのはよかったが、私はまださっきのことを許していないのだ。純情な乙女の心を弄ぶだなんて言語両断。ていうか最初にいた部屋から出た時もそうだったけど、坂田さんはやることが急すぎるのだ。私の身が持たない。
なのでこれに懲りて反省しろ、の意味も含めて彼の言葉を全て無視していると、坂田さんが私の傍から離れていくのが見えた。どうやら店内の端の方にいる従業員の元へ行ったらしい。
「しゃーない、Aのことは俺が着替えさせるから、おまえらは下がってて」
突然、所有主の客だからか全く言うことを聞かない私の扱いをどうすればいいか困っていた───申し訳ないとは思ってます───店の従業員たちを下がらせた坂田さん。彼は、私をまたひょいっと横抱きの形で持ち上げて着物が沢山並ぶ店の奥の方まで連れて行くと、大きな鏡の前に下ろした。
え、なにが始まるのこれ。
しかし何度持ち上げられても慣れないので重くないのかな、とか顔近くて恥ずかしいなんて考えてしまうのでまだ私は純粋である。誰かさんとは違って。
「Aはきっと赤が似合うよなぁ。昔は白しか着てなかったけど、ほんまはこういうの着てほしかってん」
「え？はい？え、昔？」
昔って、いつの話だろう。坂田さんと私って前に会ったことがあるの？
まるで独り言を零すように呟いていただけの言葉だったので元より返事は期待していなかったが、坂田さんは着物を選ぶのに夢中で何も聞いていなかったらしい。険しい顔をする私に、どうしたの？と言って緩んだ笑みを浮かべながら小首を傾げる姿は何度見ても心臓に悪い。
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李 雨月(プロフ) - かわいい私が好きさん» その言葉がいただけて字書き冥利に尽きます(照) タイトルもこだわっているので褒めていただけて嬉しいです。コメントありがとうございました〜！ (2022年11月8日 22時) (
レス) id: 8fe15b8549 (このIDを非表示/違反報告)
かわいい私が好き - 題名だけでドタイプを貫いていたので覗いてみたらもう最高の作品に出会いました👐✨これからも読み続けます😉 (2022年11月4日 20時) (レス) @page12 id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
李 雨月(プロフ) - みこさん» 一コメですよ〜！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！コメントありがとうございました◎ (2022年10月17日 0時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
みこ - 一コメ、、、？めっちゃ面白いです！ありがとうございます！更新楽しみに待ってます！ (2022年10月10日 15時) (レス) @page11 id: 3112c05530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作成日時：2022年9月19日 21時
