家族のハナシ-短編-

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翔太side


A「ｺﾞﾎｯ､､､ｹﾎ､ｹﾎ」




「A？大丈夫？」




A「ﾝﾝｯ、ｹﾎｯ､､へいき」




今日は土曜日でシフトのないおれと学校のない双子の3人で留守番




買い物も特にないし家でのんびりする予定




そのつもりでいつもよりだいぶ遅い時間に起きてリビングに入ればけほけほ咳き込むAの姿




もう朝ごはんも食べたみたいでソファにもたれてケータイを見てるみたいだけど実際に操作しているのか疑わしいくらい画面を触るわけでもなく手に持っているだけ



動画を見てるにしてはイヤホンもしてないし音も漏れていない




おおかた調子が悪いのを勘づかれたくないがためのカモフラージュだろう



普段体調が悪いときは余計しんどくなるみたいで滅多にケータイには触らなくなるから


触れてる分だけまだ元気だとアピールしたいのだと思う



そんなことを考えながらAの観察をしつつ涼太が作って置いていってくれた朝食を電子レンジで温めてダイニングテーブルへ戻る




卵焼きを食べながら目についたのはAの体調を記録しているノート



あの様子だと今朝の分はすでに書いてあるだろうから勝手に開いて目を通す




はっ？SpO2低くね？



Aと暮らしていく上で身につける気はなくても勝手に備わっていく医療知識のおかげで普段から測定している数値の正常範囲くらいはおれでもわかる



まあ“Aにとっての”正常値だけど




この数値なら辰哉あたりが酸素つけておけって言いそうなのにソファに座るAは時たま咳き込みつつも他はいつも通りに振る舞っている




「ねぇ、苦しくないの？」




A「､､､へーき」



ほら、この絶妙な間といい、返事の素っ気なさといい確信犯だなこりゃ




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