家族のハナシ-短編-

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多少信号に捕まりつつもなんとか病院に到着したものの、Aの状態はこの短時間でも刻々と悪化



途中からは呼びかけにも反応を示さないし、チアノーゼもさっきよりひどくなってきた




阿部「ふっか！！」




救急の入り口で待機してくれていた阿部ちゃんにAを託しておれと照は処置室前の廊下で待機




親族である以上病院での処置には関われないから、悔しいけど大人しくAの無事を願って待つのみ




照「､､､辰哉、なんで電話もメールも見てくれねぇんだよ､､おれ何回も連絡したのに」




「え、がち？」




たしかにこんな状態でどうして照からの連絡がないのか不思議だったけどまさかおれが原因？




慌てて携帯を確認すると30件を超える照からの通知が届いている



「まじか､､､ほんとごめん」



カンファレンスのときにマナーモードにしたっきりそのままになってたみたい



照「ｸﾞｽｯ､､､このままAいなくなっちゃうかもってこわかった､､､」




「泣くなって、Aは何があっても絶対おれたちのところに戻ってくるから」



医者になってこの世に絶対なんてないってわかったけど今は医者じゃなくて患者の家族



絶対を信じたっていいよね､､､？




照「おれ、あいつらに連絡してくる､､､ｸﾞｽｯ」




あ、言われてみれば家のいたのは照とAだけだった




家族で共有しているカレンダーアプリを開くと翔太と涼太は高校の同級生と飲み会、蓮は中学時代の仲間に誘われてナイターでサッカーをしに行っているらしい




照に悪いことしちゃったな、たまたまとはいえAと2人きりでのことだったから怖かっただろう




照「辰哉、翔太と涼太は酒飲んじゃったから明日の朝着替え持ってくるって、んで蓮は来たいって言ってたけどあいつらも家にいるしもうこんな時間だから家に帰るように言っといた」



「ん、ありがとな照」




こんな時でも他の兄弟のことを考えられる頼もしい弟を持ってなんとも心強い






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