トリップしたら組織の一員だったけど、今はイケメンに言い寄られている【降谷零/松田陣平】

降谷視点 ページ38

Aの置いていったお金は、お釣りが余裕で出る。


例の女性は大人しく席に座っているし、風見にも連絡はした。後はあいつが何とかしてくれるだろう。


それにしても…あの時のAの殺気。あれは本物だ。さすが組織にいただけある。


俺は彼女の置いていったお釣りをどうしようかと思ったが、タイミングよく松田が来た。


「いらっしゃいませ」


松「…あいつは？」


「先ほど出て行きましたよ。ちょうどいいので、このお釣りを返しておいてください」


松田はお釣りをポケットにしまうと、先ほどまで彼女が座っていた席の隣に座った。いつの間にかそこが松田の席になっている。


松「で、お前いつ暇？」


「暇な時などありませんね」


松「なめてんのか？」


「……今でよければ話を聞きますよ？」


そう言うと、松田はコーヒーを頼んできた。


松「何でこの前付けてきた？」


「あなたが彼女をエスコートできるか心配で」


松「寝言は寝て言え」


やはりこいつに嘘は吐けないな。


「二人で楽しくデートだなんて妬ましかったんですよ」


松「ならお前もあいつをどっか誘えば？まぁ、お前は忙しそうだから難しいか」


ニヤリと笑った松田の顔を殴ってやりたい。


「それにしても、Aさんはすごいですね」


松「何が？」


「話術ですよ。あれなら、ハニトラなんかしなくてもターゲットから情報を聞き出せそうだ」


松「お前もそういうのは上手いだろ？」


「ええ、まぁ」


松「謙遜って言葉を知ってるか？」


「それと、一つ訊きたいんですが、最近彼女どこかに出かけませんでした？一人で」


松「そういえば、誰かの家で飲むとか言ってた時があったな」


「なるほど…」


ベルモットもなかなかに危険なものを持たせるな…。


「家に帰ったら、彼女を問い詰めてください。なんなら、逮捕してもいいですよ」


松「はぁ？！」


「銃刀法違反で」


松「…分かった。訊いてみる」


なぜ今更彼女に拳銃なんかを渡したんだ？あの女は。

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