幕間 五条悟と家入硝子 2 ページ42
硝子は眉をひそめた。
僕の顔に、なにかついていたりしたのかな?
いや、硝子ならそれをからかって写真を撮り始める。じゃあ違うか。
「お前、本当に妹のこと、好きなのか?」
「ん〜?好きだけど」
「女をとっかえひっかえしてたやつの言葉は軽いな」
「それとこれとは、感情が別じゃん?」
硝子はため息をつくと、叙々苑な、と言いながら僕にボールペンを差し出した。
どうやら貸してくれるらしい。今度、任務がない日はいつだろう。
いや、そんな日はめったにないから、時間がある夜にするか。Aも連れて行こう。自分の予定を思い返しながら、僕はそれを両手でありがたく受け取って、報告書の続きに取りかかる。
「五条、今日、有夢は泊まりがけの任務なんだってね」
「え、なにその情報。どうでもいいんだけど」
池田有夢。その名前を聞いて、手が止まった。
自然にしかめっ面になる。以前の僕なら、吐くような真似をして拒絶を示していたと思う。
伊地知の一個下、僕らの後輩である彼女のことを、僕はどうしても好意的に見れない。
その理由は簡単。僕に付きまとって嘘っぽい愛想を振りまいて、あからさまに媚びを売っているから。そんな女、今まで何回も見てきた。もう相手にする気もない。しょうもなくて、吐き気がする。
硝子からは冷たいな、なんて言われたけど、女にまとわりつかれたことがないからそういえるんだろう。寮の部屋までついてきて、勝手に上がりこもうとしてきたことは何回もあった。そういうところが好きになれない。
そんな有夢が最近、どうも動きがおかしい。僕にまとわりつくことがなくなって、こそこそとしている。
今まではどんなときも高専にいたのに、急に真面目に任務に取り組みはじめた。今日明日の泊まりがけの任務もそう。前は絶対に嫌、五条先輩から離れたくない、なんて無意味な気持ち悪い駄々をこねていたのに。
別にあいつが好きとかじゃないけど、さすがに今までまとわりつかれてきて、いきなり来なくなると不審に感じる。
「有夢に聞かれたくない話でもするか」
「え〜、なにそれ、僕の縁談でも持ってきた?」
「そんなこと、私から話すわけないだろ」
硝子は持っていた紙束で、軽く僕を叩いた。ぽこんと、頭の悪そうな音がした。
「妹が死にかけたの、有夢のせいだったぞ」
「……は?」
我が耳を疑う。
有夢のせいで、Aが死にかけた?
自然と手に力が入る。ボールペンがきしむ音がした。
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ツバメ - 甚爾と(彼女?)妹と偶然出会って知り合いにもなって欲しいです (2022年2月8日 18時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 面白いし五条さん妹愛ばかになりつつあると思うけどそれなりに仲良いと思います この子には凄く難しいかも知れませんが伏黒甚爾生存で彼をなんだかんだで助ける事出来ませんか?闘うのも有りですがやっぱり甚爾だけがいなくなってしまうのはダメかもと思うのです (2022年2月8日 18時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
善(プロフ) - 屑女また企んでそう (2022年2月3日 12時) (レス) @page26 id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - すっごい好きすっごいなんかもう好き(語彙力とは)、、、最初からここまで一気読みさせていただきました!1話1話の内容がとても面白くて、もっと読みたい!って思えました!!!更新を楽しみにしています。応援してます!!! (2022年1月8日 20時) (レス) @page12 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
善(プロフ) - 五条達に悪女こそが家族と洗脳の術を使い、夢主ちゃん見ず知らずの誰あんたみたいな術をにしておく (2021年12月31日 6時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
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