【呪術廻戦】五条さんの妹になりました 3

起きたけど、よくない ページ5

ただひとつ分かることは、この力の存在を五条さんが知っていること。そして、それが強力だということ。それ以上のことは分からないし……今は知りたくないかな。
どうせなら、普通に、どこにでもいるような女の子として過ごしてからこの力のことを知りたい。
普通の女の子として暮らす、機会をくれた五条さんのためにも。


「A、さっき五条になにをしたか分かる？」
『分かんないです』
「そっか、じゃあ五条に聞かないとな」
『へ？』
「いまAが五条になにをしたのか、五条ならわかるだろうし」


家入さんは今度こそ立ち上がると、五条さんの枕元に向かう。
五条さんの隣に立った家入さんは、お笑いとかでよく見るハリセンを持っていた。
え、まさかそれで起こすつもりなんじゃなかろうね。自分がされるわけじゃないのに、冷や汗がどっと出てきた。


『あ、あの、それは……』
「ハリセン。昭和初期くらいからお笑い界にあるやつ」
『説明が欲しいのはそっちじゃなくて……』
「いまからやることくらい、見ときゃわかるよ」


家入さんはハリセンを振り上げると、五条さんの頭をはたいた。その瞬間、五条さんが目を開けた。とても驚いた顔をしている。
そりゃあそうだよね。攻撃を受けて寝たかと思えば、すごい衝撃を頭に受けたもん。起きるよね。


「おい、硝子。なにしてんだよ」
「なにって……お寝坊さんを起こしただけですけど？」
「起こし方ってもんがあるだろ」
「さあ？こうでもしないと起こさないと思いますけど」
「そうでもして俺を起こしたい理由は？」
「私の反対側、見たらわかると思うけど」


五条さんは家入さんに言われるがまま、こちらを向く。
なんて聞き分けのいい五条さん。こんな五条さん、10年に1回見れるかどうかレベルのレアだよ。やったぁ。

五条さんの薄い青色の目がこちらをむく。なかなか五条さんと目を合わせる機会がないので、なんか久々な気がしてきた。
自然と背筋が伸びる。なぜか少しだけ緊張する。五条さんの顔がいいからだろうか。

五条さんは首を傾げると、家入さんの方を向いた。
私にはもう興味が無いのだろうか。毎日会っているから？


「こいつは？」
「は？お前の妹じゃん」
「俺に、妹なんていたか？」


なんとも衝撃的な五条さんの発言に、思わずえ、と声が出た。家入さんも顔をしかめている。
五条さんが私を義妹にしたんでしょ、なんて言葉が出てきそうだった。

ようやく起きたけど、良くない方向に向かっている気がする。

バレたかもしれない→←(五条、よくあれを妹にしたな)

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