デリカシーがない ページ39
五条さんは私の指の本数を見て、察したらしい。
その口に、微笑を浮かべた。
「いいね。硝子が喜ぶよ」
『……ねえ、国家試験に合格ってどういうこと?』
家入さんが喜ぶのはいいとして、どうして国家試験に合格しないといけないのかが分からない。
私の疑問を聞いた五条さんは、不思議そうな顔をした。きょとんとしている。
「あれ、A、看護師志望じゃなかったの?」
『え』
「硝子から聞いたよ。わざわざ看護師はいるか、って聞くもんだから看護師かと。違うの?」
『いや、合ってるけど……』
確かにそんなことを言ったし、看護師になりたいとちょっと思ったりもした。
でも思い描いてたのと、なにか違う気がして……。
「合ってるならいいじゃん」
『ま、まあ……』
「じゃあ、そういう話でいい?とりあえずは。これからなにが起こるか分かんないし。Aが大きくなる前に死ぬ可能性だってあるから、あまり縛られないでいいよ」
『し、死ぬ!?』
私の表情の変化と焦りようを見て、五条さんが不思議そうな顔をした。
そして、答えを見つけた、という顔をすると、にっこりと笑った。
「だってA、殺されかけたじゃん。有夢に。これからも狙ってくるんでしょ?いつ来るかも分からないんだから、いつ死んだっておかしくないよ」
『デリカシー……!』
「ん?なんか言った?」
『いやなにも!』
そんなに簡単に死ぬとか言われても、あまり実感がない。まあ、納得はできるけど。
私を殺すことで、私に今向けられている、五条さんからの愛を得る。この世界を、そんな“物語”にしようとしている有夢。今回、有夢は私を殺すのに失敗してるわけだから、またどこかしらの機会で襲ってくるのは考えなくても分かる。
でも、それを簡単に本人の前で言うなんて……よっぽどだよ。
五条さんはへらへらとしている。私が焦った理由には気づいたようだけれど、謝ってくるそぶりはない。事実を伝えただけ、そう言われそう。
ていうか五条さんって、なんか女関係ただれてそうだよね。この性格だし。
とにかく、20歳になるまではなんとか生きたい。もちろんそれ以上にも生きたいけどね。
今は五条さんの提示した目標である、看護師国家資格合格を目指して、がんばらなきゃならない。勉強のことを考えると、気分が落ち込むのが分かった。
五条さんにバレないよう、そっとため息をつく。
空は嫌に思うくらいに晴れ渡っていた、気がする。
激動編 完
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ツバメ - 甚爾と(彼女?)妹と偶然出会って知り合いにもなって欲しいです (2022年2月8日 18時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 面白いし五条さん妹愛ばかになりつつあると思うけどそれなりに仲良いと思います この子には凄く難しいかも知れませんが伏黒甚爾生存で彼をなんだかんだで助ける事出来ませんか?闘うのも有りですがやっぱり甚爾だけがいなくなってしまうのはダメかもと思うのです (2022年2月8日 18時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
善(プロフ) - 屑女また企んでそう (2022年2月3日 12時) (レス) @page26 id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - すっごい好きすっごいなんかもう好き(語彙力とは)、、、最初からここまで一気読みさせていただきました!1話1話の内容がとても面白くて、もっと読みたい!って思えました!!!更新を楽しみにしています。応援してます!!! (2022年1月8日 20時) (レス) @page12 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
善(プロフ) - 五条達に悪女こそが家族と洗脳の術を使い、夢主ちゃん見ず知らずの誰あんたみたいな術をにしておく (2021年12月31日 6時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
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