【呪術廻戦】五条さんの妹になりました 3

(五条、よくあれを妹にしたな) ページ4

この人が何を言いたいかはもう分かっている。前フリが大げさだから。


「五条から与えられた機会、無駄にしないようにね」
『うん』
「よし、いい子だ」


家入さんは私の頭に手を置くと、少し乱暴に頭をなでる。
そのおかげで髪がぼさぼさになった。家入さんが手をなかなか離さないので、髪を整えるときがない。まいったなあ。
でも、嫌な気持ちにはならなかった。むしろ、ちょっと嬉しかった。


「そういや、なんで呼んだか言ってなかったね。五条がやらかしたんだよ」
『やらかした？』
「避けられるものを避けなかった。しばらく起きないもんだからさ」


私なら何かできるとでも思っていたのだろうか。
以前から自分が大きな力を持っている、という話は聞いていたけれど、どんな力なのかまでは知らない。力の扱いも分からないから、なにもすることができない。


『どうして、私を呼んだんですか？』
「あいつに、自分になにかあったらAを呼べって言われたからね」
『えっ』
「さ、大好きなお義兄(にい)さんが奥のベッドで寝てるよ」


家入さんに促されるまま、奥のベッドに近寄る。そこには、きれいな顔で寝る五条さんがいた。


『お兄ちゃん、私。家入さんに迷惑かけちゃダメだよ』


五条さんにそう話しかけたけれど、起きない。少し心配になって呼吸を確認したけれど、別に何ともなかった。
というか時々むにゃむにゃとか言ってるので、五条さんは寝ているのだと確信した。攻撃を受けて寝ているとは思えないほどの爆睡で、ほっぺをつついても少しビンタしても起きない。いや、起きてくださいよ。


「五条、やっぱ寝てる？」
『寝てますね』
「しゃーないかあ」


家入さんはそう言うと、椅子から立ち上がる。
そして何かに気づいた顔をすると、不思議そうな顔で再び椅子に座りなおした。
今の行動はなんだったのだろうか。まったく意味のないことなのに。
その疑問が解決するのはすぐあとのことで、どうして家入さんが椅子に座りなおしたのか分かった。

私の背後から人間のものではない、黒い手が伸びる。
その手は五条さんの頭にそっと触れると、白い淡い光を発した。まぶしくて思わず目をつむった。その手についてはなにもわからないけれど、黒い手にびっしりとうろこが生えているのは、しっかりと確認できた。
もしかして、五条さんが言っていた私の力っていうのは、生き物か何かだったりするのだろうか。
それか、私の力が現れた姿なのか。それはまったくわからない。

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