急すぎる不調 ページ24
前世を含めた、今までの人生で感じたことのないほどの、激しい吐き気だった。
それはあまりに激しくて、我慢しきれないほどだった。
胃から
胃からせりあがってきたもので、口の中がいっぱいになる。しばらく抑えていたけれど我慢できずに、そのまま布団に向けて口の中のものを吐いてしまう。
私が吐いたのを見て、有夢はひとつ悲鳴を上げた。怖がっているようにしか見えない有夢だけれど、両手で覆ったその口元が、にっこりと笑っているのを、私は確かに見た。
私が吐いて、愉快ですか、満足ですか。
ならよかった、そう思いながら有夢をにらむ。吐いたものを全部、有夢にかけてやりたい。そんな気持ちになった。
そう思っている間も、嘔吐は止まらない。胃がきゅうと、ねじったかのように締まっていくのが分かった。涙が目に浮かんだ。
体が胃の中のものを、激しく拒否している。そんなことない、はずなのに。
しばらくして、胃の中のものをひときしり吐いた私のもとに、お医者さんと看護師さんがやって来た。さっきまで元気だったはずの私の様子の変化にひどくうろたえつつも、手早く応援を呼んでいた。
看護師さんが落ち着くよう声をかけてくれる。その声が優しくて、本当に泣いてしまいそうになった。
ふと思う。だれがお医者さんたちを呼んだんだろう。
そんな疑問がわいたけれど、再びせりあがってくる吐き気には勝てなかった。
私は看護師さんが持ってきてくれた容器の中に、吐き気が続く限り、えずき続けた。
たとえ胃の中のものが無くなろうと、胃液しか出なかろうと、吐き気は収まらなかった。
有夢はいつの間にか、姿を消していた。
*****
吐き気が止まったのは、だいたい20分もたったあとだった。
といっても、後半は意識がもやもやとしていて、詳しくはどれくらい吐いたのかは知らない。
看護師さんがとっている記録の話を盗み聞きして、初めて細かい数字を知った。
私の意識がはっきりしたのは、かなり時間がたってからだった。お医者さんによると、吐きすぎて脱水症状を起こしていたらしい。だから気づいたら腕に点滴刺さってた。
看護師さんが点滴するのも気づかなかったの?ひえ。こわ。
だって、午前中だったのが、気づけば日が暮れてたもん。おかしいでしょ。
気づいたら昼にあった吐き気が消えてて、気づいたら夜。ええ、こわすぎ。時間の流れの恐ろしさを知ったよね。
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ツバメ - 甚爾と(彼女?)妹と偶然出会って知り合いにもなって欲しいです (2022年2月8日 18時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 面白いし五条さん妹愛ばかになりつつあると思うけどそれなりに仲良いと思います この子には凄く難しいかも知れませんが伏黒甚爾生存で彼をなんだかんだで助ける事出来ませんか?闘うのも有りですがやっぱり甚爾だけがいなくなってしまうのはダメかもと思うのです (2022年2月8日 18時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
善(プロフ) - 屑女また企んでそう (2022年2月3日 12時) (レス) @page26 id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - すっごい好きすっごいなんかもう好き(語彙力とは)、、、最初からここまで一気読みさせていただきました!1話1話の内容がとても面白くて、もっと読みたい!って思えました!!!更新を楽しみにしています。応援してます!!! (2022年1月8日 20時) (レス) @page12 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
善(プロフ) - 五条達に悪女こそが家族と洗脳の術を使い、夢主ちゃん見ず知らずの誰あんたみたいな術をにしておく (2021年12月31日 6時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
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