目覚め、そして自覚 ページ20
スゥ、と、息が大きく吸われた音がした。五条さんが動揺しているのが手に取るように分かる。起きているのがバレた気がする。もう、寝たふりはできない。
私はゆっくりと目を開けた。まぶたはまだ重い。光が直接、目に入ってきてまぶしい。
少しずつ、目に光が慣れてきた。
白い天井と、私を見下ろす五条さんの姿が見える。五条さんは少しだけ元気のなさそうな顔をしていて、今まで大変なんだろうなって他人事みたいに思う。
声を出そうと、口を開ける。喉はカラカラで、でもかすれた声がわずかにながら絞り出せた。
『おにい、ちゃん』
「……」
『おは、よ』
五条さんの顔を見て、少し笑ってみせる。
声が小さくてかすれていて、うまく聞こえなかったと思う。それでも、私は五条さんにこれだけは伝えたかった。
『ただい、ま』
「……おせえよ」
『ごめ、ん』
五条さんは深く息を吐くと、私の目を見た。そして、その顔にほほえみを浮かべた。
あ、五条さん、ちょっと泣きそうな顔をしている。でも、その目に涙はにじんでいない。
でも、五条さんが私が起きたのを喜んでいるのは分かった。
「……老人みたいな声」
『のど、かわいた、もん』
「そうか」
五条さんはそう言うと、私の手をそっと取った。
私の手を優しく握って、深呼吸をする。
「問題。今日であの事件から何日たったと思う？」
『え……』
「正解は十日。教師も硝子も先生も、みんなAのこと心配してたぞ」
『そっか……』
自分が愛されているんだな、っていう実感がわいてきた。
でもなんだろうこれ、歯がゆいし、ちょっと照れる。
「Aがいないと、部屋がさみしく感じる。おかしいよな。特級を冠する男が、こんななんて。上層部が知ったら、驚くだろうね。ま、知らせないけど」
そう言うときも、五条さんは私の手をにぎったままにしている。
どうしたんだろうこの人。なんか、様子がおかしい気がするけど、気のせい？
「……僕のとこに来てくれて、ありがとう」
五条さんはそう言った。私のことをまっすぐな目で見て、はっきりとそう言った。
そのとき、五条さんのことが怖くなった。
「五条先輩の扱いが、妹じゃなくて恋人に近いの、気づいてる?
あの人、今までまともに愛されたことがないから、家族への接し方が分かんないのよ」
有夢の言葉がふと、頭に浮かんだ。
彼女の言っていたことは、本当なのかもしれない。
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ツバメ - 甚爾と(彼女?)妹と偶然出会って知り合いにもなって欲しいです (2022年2月8日 18時) (
レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 面白いし五条さん妹愛ばかになりつつあると思うけどそれなりに仲良いと思います この子には凄く難しいかも知れませんが伏黒甚爾生存で彼をなんだかんだで助ける事出来ませんか？闘うのも有りですがやっぱり甚爾だけがいなくなってしまうのはﾀﾞﾒかもと思うのです (2022年2月8日 18時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
善(プロフ) - 屑女また企んでそう (2022年2月3日 12時) (レス) @page26 id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - すっごい好きすっごいなんかもう好き(語彙力とは)、、、最初からここまで一気読みさせていただきました！1話1話の内容がとても面白くて、もっと読みたい！って思えました！！！更新を楽しみにしています。応援してます！！！ (2022年1月8日 20時) (レス) @page12 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
善(プロフ) - 五条達に悪女こそが家族と洗脳の術を使い、夢主ちゃん見ず知らずの誰あんたみたいな術をにしておく (2021年12月31日 6時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
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