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36話 ページ37

「お前の呼吸法は、私の呼吸に1番近いな。」


暮れる夕日を、縁側に二人並んで眺める。



「それは、光栄なことです。」



彼をあの家に住まわせる訳にもいかないので、私の家で生活しているのだ。




確か、一緒に過ごして三年ほどたった頃だろう。







「…これを。いつも世話になっているからな。」




包みを渡される。



「そんな、ありがとうございます。…開けてもいいでしょうか?」





受け取らないのも失礼だと思い、包みをみつめる。



彼が頷いたのを確認して、包みを開く。




「…これは…とても綺麗ですね。…ですが、…意味を知っていますか?」




そこには、とても美しい簪がはいっていた。




男が女に簪を送る。



それにはとても大切な意味が込められる。






「…もちろん、知っている。俺はあれから、幸せをお前に教えてもらった。

…俺はこれから先、お前と添い遂げたい。

俺は、お前を好いている。」




好意を寄せている人にそう言われて、嬉しくない人はいないだろう。




「…よろしいんですか?私で…」



「…それは、俺の台詞だ。…俺には妻がいたのに、そんな俺を好いてくれるのか?」








そういった彼の手を握る。







「生憎、私は貴方を一等好きなので。」




そう言って微笑むと、彼も微笑んで




「…そうか。」



と、嬉しそうに笑った。









彼女の事を私と重ねて見ていたとしても、

彼と過ごせる。それだけで私は幸せだと、そう思った









彼の耳元から、カラカラと音が鳴る。

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作者名:BoRam | 作成日時:2019年12月11日 22時

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