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＊ ページ30
Aoki.
自分がここにいる理由
それは人づてに聞いたものだった
だから、その理由が本当かどうか確証はないけれど
俺以外の第二部隊みんなも、
第一部隊のみんなも人づてに聞いたらしく
自分の確証のある記憶、
そして理由も知らないらしい
「深田もそうでしょ？」
「はい…記憶がないです」
ここに来るほとんどの人間は孤児だと言われている
実際に俺もそうだ
オリと拓実と同じ施設にいて
同時期に一緒にこの施設へ連れてこられた
施設へ来たあとはしばらく呑気に過ごしていた
…ここまでの記憶はある
でもある日を境に
施設に入るまでの記憶が途絶えた
自分のことの記憶は残っていたけれど
家族の顔や構成、どうして独りになったのか
個人に関する重要な記憶が全て消えていた
思い出したくても思い出せない
記憶にモザイクがかかった状態のようで…
そんなことを考えたのは実験室のような場所だった
目が覚めると隣にはオリがいてその隣に拓実もいた
二人ともまだ目を覚ましていなくて不安になった
一人で辺りを見渡すと白衣を着た大人が
俺の近くに来て俺は違う場所へと移動させられた
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作者名：タカナシ | 作成日時：2020年7月25日 14時
