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及「俺さ、さっきAちゃんと会って来たんだよねー」


国「……知ってます」



及「それでね……告白したんだよねー、Aちゃんに」




国「っ……」









分かってはいた。





及川さんが、岡本のことを好きだということ。







今日の呼び出しが、それを伝えるためであること。









そして、この人を敵に回したら勝ち目がないということ。









国「……そうですか」





及「そう。それで……Aちゃん、なんて言ったと思う?」









自分で言わずに、俺に答えさせようとしている。






多分この人は、今俺が傷ついていることも分かってる。







それでも言わせようとしている、彼はやはりすこぶる性格が良くない。






国「……分かりません」








どうしても抗いたくて、そういった。






もう答えなんて分かってるのに。









及「Aちゃんね


ごめんなさいって言ったんだよ?」










国「え?」








及川さんの言った言葉の意味を、すぐには理解出来なかった。






数秒たったであろう今でも、信じられない。








国「それは……」






及「うん。振られたんだよ、俺」









そう微笑む顔は、今まで見たことないぐらいに切なく、寂しそうだった。






及「理由は聞かなかったけど、多分聞いても教えてもらえないなぁ……そんな気がして出てきちゃって」






国「どうして……」







及「どうして、とか……そんなこと言ってる場合?国見ちゃん」







国「えっ」







及「今の国見ちゃん。何のためにここまで走ってきたの?」









その時、及川さんが見せた始めの笑みの意味がわかった。








“黒く染まった水の色”は、決して相手を見下すようなことから来ているものじゃない。









悲しみから黒く染まった水が、再び透明になるために動いていたからだ。









ただ悲しいだけで、終わらない。









この人は俺を岡本の元へ行かせようとしている。









一瞬にして混ぜられた感情が抑えきれず、溢れる必要のないものまで、溢れそうになる。







及「でも、国見ちゃん……俺に勝ったからってそんなに省エネモードでいいの?」








黒く染まった水は、再び透明になると同時にまた光を求め始めた。








及川さんの言葉のおかげで、俺は溢れそうなものを堪えることが出来た。





国「大丈夫ですよ……省エネモード、やめましたから」

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千尋(プロフ) - 完結おめでとうございます(*・ω・ノノ゙☆パチパチくにみんかわいい(*´ч`*)そして、かっこいいm9(+ゝω・´+)カッコイィ───ッ☆今までお疲れ様でした。これからも頑張ってくださいヾ(゚▽゚*)>フレー!!フレー!!<(*゚▽゚)ツ (2018年3月24日 15時) (レス) id: 0733cf80bf (このIDを非表示/違反報告)
お豆腐/月斗。(プロフ) - 伊勢天さん» ありがとうございます!! (2017年11月26日 13時) (レス) id: 2102dbe1ea (このIDを非表示/違反報告)
伊勢天 - 面白いです! (2017年11月26日 7時) (レス) id: 7c89436af4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月斗。 | 作成日時:2017年10月22日 8時

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