幕を下ろす ページ46
貴方side
「カ、フッ…」
溢れ出る鮮血が白い軍服を汚す。
何が起こったのかわからないという顔をしながら口から血を流すオリバーを雑に押し退けると、ぐらりと体勢を崩して地面を転げた。
貴「ああ、ちゃんと致命傷か。よかったよ」
痙攣している体がキチンと死にかけていると教えてくれる。
心臓を潰しても元気に動く化け物が新世界にはいるらしいのでヒヤヒヤしていたが、これも確かに人間だったらしい。
「どこ、から…！」
貴「そこからだよ」
軍の備蓄小屋に指を指す。背の高い二階建ての小屋の窓。そこには固定された銃が銃口を此方に向けていた。
貴「いや大変だったよ。なんせ頼める知人もいないもんでな。時間差で引き金を引けるようにロープで…あぁ、この話はもういいか」
軍服についた汚れを払い、立ち上がる。
貴「お前、もう死ぬもんな」
「っ…！ぐ、あり、得ない…！！」
地べたを這いながら僕を睨みつける。
「すべて…！計算していたと、言うのか…！ハァッ…、私が、お前を見つけるのも…！私がここに…くるのも………！その、タイミングすら…計算通りだと…！？」
貴「予行練習である程度飛距離と時間は掴めていたからな。それが分かればあとは誘き寄せれば済む話だろう」
何もむずかしいことではないだろ？と嘲笑えば悔しそうに歯軋りした。死にかけなのに元気なことで。
貴「さて、だ」
「！！」
貴「言い残すことは？」
懐から取り出した拳銃のセーフティを外す。
息があるのに放置するつもりはない。
「ぐふ、ぅ…何故、何故だ！あの時確かにお前は我が手を取ったではないか…！アコルデを…守ろうと…！」
貴「悪いが僕はあの時アコルデを守りたくてお前についたんじゃない」
もはや繁栄も栄光も潰えたあの地を守るメリットがない。
これらがそれでもアコルデに固執しているのは、それ以外何も持たないからだろう。
「ハァッ、ﾊｯ…ッグぅぅぅぅ…！！クソ、全てッあの、女のせいだ…！ラピュセル…！奴さえ…！奴さえ我らの話を呑んでいれば！お前を完全に手中に収めることができた！！そうすれば！どの国にも負けない最強の国を！！」
貴「もういいか」
これ以上は耳が腐る。
「〜〜〜！おのれｪ！ラピュセルに毒されおって！その在り方！髪色！穢らわしい穢らわしい！大体、あれだけ毎日罵倒されておいできたよくもまぁ＿」
火薬と血の匂いが爆ぜる。
発砲音は戦場の悲鳴に消え、誰の耳にも届かない。
貴「そうさ。僕は確かにあの女が嫌いだよ」
あの女もまた、僕が嫌いだったろう。
＿それでも
貴「あの国で僕の行く末を案じたのは＿あの女だけだった」
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リピリピ(プロフ) - もう一話ほどオリキャラ展開が続きますが、すぐに頂上戦争に移りますのでもうしばらくお待ちください…！ (2022年10月29日 11時) (
レス) id: 4ca1cec3dc (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 更新ありがとうございます…！！今後も楽しみに待たせていただきます…！ (2022年10月12日 21時) (レス) @page40 id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
あお - 更新お疲れ様です！楽しみにしてますので、これからも無理のない範囲で更新頑張って下さい！応援してます (2021年6月3日 23時) (レス) id: d1364640ca (このIDを非表示/違反報告)
凍ったライム(プロフ) - 久しぶりに見たら更新されてて滅茶苦茶嬉しかったです！これからも更新頑張って下さい！応援しています。 (2021年5月30日 21時) (レス) id: 946d60cede (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 待ってます、応援していますね。 (2020年12月22日 23時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リピリピ | 作成日時：2019年8月21日 15時
