奥の奥 ページ41
白「…」
モビーディックの上で、エドワード・ニューゲート＿白ひげは訝しげに目を細める。
己の全盛期に肩を並べた古兵に加え厄介な能力を持つ
一筋縄ではいかないことは白ひげも重々承知の上で戦の狼煙を上げた。
だが、それを考慮してもなお白ひげの脳裏によぎる、違和感。
白「…攻めきれねぇな」
こちらも全力。持ちうるすべての戦力を率いて海軍を叩きに来た。
一筋縄ではいかないのはこちらも同じ。だと言うのに、状況は幸にも不幸にも動かない。
ただ、停滞だけが続いている。
おそらくは妙に連携が取れている下っ端が原因だろう。
ちょこまかと鬱陶しいそれは、一人二人落とした程度では崩れない。全て薙ぎ倒したとしても追加の援軍が妙に早く同じことだった。
智将センゴク。
大参謀おつる。
何度も敵対し合間見えた軍師たちの顔がよぎる。
白ひげは眉を寄せ、舌を打った。
違う。この策を打ったのはこの二人ではない。
幾たびも殺し合いを重ねた仲であるからこそわかる差異。
ならば、このひたすらに
『＿＿僕？僕はただの天才ですよ』
興がのったが故に見逃した、小さな一匹のネズミを思い出す。
白「＿はっ、」
信念を持たず、命乞いをする割に命知らずで、在り方の全てが半端な女。それだけなら海に放り投げて仕舞いだった。
だが、その目。
全てを見通したような生意気な目の、その奥の奥。見え隠れする、激情。
白ひげだけが気づいた、純粋たる怒り。
それだけは半端とは呼べなかった。
だから見逃した。その激情は簡単に散らせるにはあまりに惜しく、それほどまでの怒りを腹の内に隠し込むその道化ぶりが見事であったから。
白「なるほどなぁ…才も本物だったか」
思えば、海底にて進むモビーディックに誰より早く勘づき声を上げる兵がいた。その声が、あの大口を叩くネズミによく似ていて。
白「グララララ…安泰じゃねぇか海軍。＿そう簡単にいくと思うなよ」
口角が上がる。
懐の伝電虫に手をかけた。
エドワード・ニューゲートに後悔はない。
ほんの少し。かけらほどだが、むしろあの名も知らぬ娘を認めたと言ってもいいのかもしれない。
この戦でまみえたなら叩き潰しておこうと思う程度には。
ーーーーーーーーー
貴方side
走る。走る。走る。
まだ足りない。もっと奥へ。
貴「はぁ、は＿＿っ！」
銃声がなる。それは、明らかに僕に向けられた殺意で。
「お久しぶりです。聖女様」
「＿カイン・オリバー」
腑の奥の奥へ隠し込んでいた怒りが、再び叫び出す。
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リピリピ(プロフ) - もう一話ほどオリキャラ展開が続きますが、すぐに頂上戦争に移りますのでもうしばらくお待ちください…！ (2022年10月29日 11時) (
レス) id: 4ca1cec3dc (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 更新ありがとうございます…！！今後も楽しみに待たせていただきます…！ (2022年10月12日 21時) (レス) @page40 id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
あお - 更新お疲れ様です！楽しみにしてますので、これからも無理のない範囲で更新頑張って下さい！応援してます (2021年6月3日 23時) (レス) id: d1364640ca (このIDを非表示/違反報告)
凍ったライム(プロフ) - 久しぶりに見たら更新されてて滅茶苦茶嬉しかったです！これからも更新頑張って下さい！応援しています。 (2021年5月30日 21時) (レス) id: 946d60cede (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 待ってます、応援していますね。 (2020年12月22日 23時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リピリピ | 作成日時：2019年8月21日 15時
