不切実 ページ39
貴方side
おつるさんと元帥殿ともう一度策を詰めたあと、30分の自由時間が与えられた。
まぁ自由時間と言っても銃の点検や配置場所の確認の時間なんだが。
貴「…」
弾倉に鉛を詰めて、息をつく。こぼしたため息は、誰もいない静かな自室の空気を揺らした。
必要最低限の家具に、申し訳程度の本。
世界はこうもめざましく変化しているのに、見渡す自室は変わらず淡白で思わず自嘲する。
すると静かな部屋に無愛想なノックが響いた。
ク「よ」
貴「こちらにきていて宜しいので？青キジ大将」
ドアを開ければ猫背の上司が眠そうに立っていた。何してんだこの人。
ク「いやぁ戦争前じゃない？おれだって死ぬかもしんねぇからな。可愛い部下の顔を一目見に来たわけよ」
貴「縁起でもないこと言わないでいただけますか」
冗談じみた口調でそんなことを言われても状況が状況なだけに笑い飛ばせない。
当の青キジ大将は苦虫を噛み潰したような顔をしているであろう僕を気にも留めず欠伸しているが。しばくぞ。
貴「大体死ぬ確率なら僕のが高いでしょうに。そんなお暇があるなら、せめて死ぬ前に山積みの書類を片付けてください」
ク「あらら。厳しいじゃないの」
肩をすくめる大男にため息をついて、僕はそのまま扉を閉めようとした。
ク「A」
大きな手が、扉をつかむ。さっきとは違う真剣な声色に、僕は眉を顰めて顔を上げた。
ク「お前、生きる気はあるか」
貴「＿なにを」
ク「クロコダイルの件」
続けようとした言葉は、無理やりかき消された。
ク「お前、おれが扉の外にいるの
貴「…なんのお話で？」
意外に、声は震えなかった。
ク「海軍から姿をくらませるのはまぁ…一筋縄ではいかんだろうよ。だがわざわざクロコダイルを頼る意味がわからねえ。おれが聞いていると分かっていて話を進めたなら尚更。＿他にあったろ、道は」
僕の質問に答える気はないらしい彼は、さらに馬鹿げた仮説を続ける。
ク「お前の望みは平穏な暮らしのはずだ。お前は何故そう生き急ぐ」
温度が、冷えていく。
あぁ、なんともまぁ、
ク「＿＿お前、この戦争で「青キジ大将！！」」
兵士が慌ただしくこちらへ向かってくる。大方彼を呼びにきたのだろう。
貴「呼ばれてますよ」
ク「…そうだな」
一瞬不服そうに眉を下げるも、気だるげに兵の方へと歩み出した。
貴「大将殿」
緩やかに、正義の外套が、揺れる。
貴「貴殿の言ったことは、僕には何一つ理解できません。だから貴殿はきっと＿」
黒い瞳が、僕だけを写す。僕、だけを。
貴「夢でも、見ていたのでしょう」
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リピリピ(プロフ) - もう一話ほどオリキャラ展開が続きますが、すぐに頂上戦争に移りますのでもうしばらくお待ちください…！ (2022年10月29日 11時) (
レス) id: 4ca1cec3dc (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 更新ありがとうございます…！！今後も楽しみに待たせていただきます…！ (2022年10月12日 21時) (レス) @page40 id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
あお - 更新お疲れ様です！楽しみにしてますので、これからも無理のない範囲で更新頑張って下さい！応援してます (2021年6月3日 23時) (レス) id: d1364640ca (このIDを非表示/違反報告)
凍ったライム(プロフ) - 久しぶりに見たら更新されてて滅茶苦茶嬉しかったです！これからも更新頑張って下さい！応援しています。 (2021年5月30日 21時) (レス) id: 946d60cede (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 待ってます、応援していますね。 (2020年12月22日 23時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リピリピ | 作成日時：2019年8月21日 15時
