最後の夢 ページ37
一歩一歩、踏み締めるような足音がする。
苦手な音だ。
自信と責任を強く抱いた音。
たまらず耳を塞ぎたくなる、嫌な音。
「…あぁ、これは運が悪い。まさか貴方様と出会うとは」
「＿ごきげんよう」
隠す気のない悪態に、ワタシは口の端をわずかに上げて上品な笑みを浮かべる。
毎夜鏡の前で練習してきたのだ。今更崩れることなどなかった。
「気色悪い。つい先日、二度とその顔を見せるなと頼んだはずなのですが…あぁ、覚えられませんでしたか。これは失礼」
貴方には難しい話でしたね、とワタシの努力を鼻で嗤う。
何も言い返すことができなかった。
だから、ただ、眉を下げて、笑う。
それが彼女の怒りに触れたらしい。
「へらへらへらへら。一体この状況で何がおかしいのやら。オリバーにでもなんぞ吹き込まれましたか」
ろくに手入れのされていない銀の長髪を揺らして、彼女はこちらへと歩を進める。
整った彼女の顔は、怒りに満ちていた。
「大して愛着もない国のために働かされ、救世主に祭り上げられた哀れな貴方。貴方はもうとっくにわかっているんでしょう」
胸ぐらを掴まれる。
冷ややかな目が変わらずワタシを見下ろした。
「国は貴方を救いませんが、貴方が国を救わないことは許されない。権利も主張も感情も踏みつけられて、へらへらと見苦しい。尊厳すら捨てたのですか？」
吐き出される暴言。
これは、八つ当たりだ。
どうにもならない怒りをぶつけられている。
わかっている。彼女が真に怒っているのは、己自身。
胸ぐらから伝わる、微かな震えがその証拠。
「なんて不自由。なんて欺瞞。あぁ、清く正しい、精錬にして潔白な聖女よ＿いや、」
だから、
.
.
「アポートル・A・A。お前は、一体何がしたいんだ」
何一つわかっちゃいないこの女を、ぶん殴るべきだったんだ。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
次回、頂上戦争。
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リピリピ(プロフ) - もう一話ほどオリキャラ展開が続きますが、すぐに頂上戦争に移りますのでもうしばらくお待ちください…！ (2022年10月29日 11時) (
レス) id: 4ca1cec3dc (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 更新ありがとうございます…！！今後も楽しみに待たせていただきます…！ (2022年10月12日 21時) (レス) @page40 id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
あお - 更新お疲れ様です！楽しみにしてますので、これからも無理のない範囲で更新頑張って下さい！応援してます (2021年6月3日 23時) (レス) id: d1364640ca (このIDを非表示/違反報告)
凍ったライム(プロフ) - 久しぶりに見たら更新されてて滅茶苦茶嬉しかったです！これからも更新頑張って下さい！応援しています。 (2021年5月30日 21時) (レス) id: 946d60cede (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 待ってます、応援していますね。 (2020年12月22日 23時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リピリピ | 作成日時：2019年8月21日 15時
