C'est la vie. (ページ5)

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紫 side

じーっと神ちゃんの髪を見続ける流星。
神ちゃんが髪色を変えるたびに行われるそれに神ちゃんも慣れたものでじっと大人しくしてる。

そんな二人をよそにしげは不満そう。
もう明らかに不機嫌ですって表情を隠しきれてない。

それに気づいた神ちゃんがしげを呼ぶ。途端に嬉しそうな表情をして、駆け寄るしげ。

「しげ、座って」
「神ちゃんの横でええ？」
「ん」

神ちゃんの隣に座ったしげの髪を触る流星。
住人の中で唯一髪を染めたことのないしげのさらさらした触り心地がいいらしく、気分が乗ればずっと触ってる。

しげの髪の触り心地に飽きれば神ちゃんの髪へと手を伸ばす。
そんな流星の表情は穏やかで今日は安定してる。

しげも流星に髪を触られてる間は大人しくしてる。

しげは数年前にアスペルガー症候群と診断された。
本人にもともと自覚はなくて、でも当てはまる事柄が多く不安になって医療機関に相談しに行った際に診断された。

少し気を付けてさえいれば普通の生活が送れるからか、本人の性格なんか気にはしてないようやけど。

「なんや、揃ってるやん」

おはようさん。そう言いながらソファーから少し離れた場所に座る照史。
その背中にはでかい赤ちゃんがくっついとる。

「今日の望は甘えたモードなん？」
「せやで、朝から淳太くん見て大号泣」
「あー……」

望は解離性同一性障害。所謂多重人格ってやつやな。
望の中にいくつ人格があるのかは、俺らにもわからんけど、今出てるのは多分甘えん坊さんの人格やろうな。

この人格の時は病院に関連するものをとにかく嫌がる。だから淳太を見た途端に大号泣。

「朝から疲れたわ……」

そういって俺の座ってる横で机に突っ伏す淳太。その体制やとメガネのフレーム歪むで。

「お疲れさんやな」
「んー……、落ち着いたらのんちゃんに話聞かなあかんし、そん時は濵ちゃんよろしくな」

本人の中で何が違うんかわからへんけど、この人格の時でもメガネをかけてる淳太は大丈夫みたいで。
この状態の時はメガネをかけてることが多い。
この状態でも泣かれたら困るから、診察の時はメガネ外してるけど。

「もう淳太くんずっとメガネかけといてやあ」

望から解放されたんか照史も淳太の横で突っ伏してる。
朝からお疲れ様やで。

望はしげたちのところへ。これまた神ちゃんの髪色に興味を持ったんか触ってる。
あーあー、神ちゃんの髪くしゃくしゃやん。