恋に名前を (ページ2)

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「てか、髪の毛どうしたのそれ」
黒『あ、これ？染めた！』
モ・A「『……はあ？』」
モ『黒田、校則って知ってるよね？』
黒『うん』
モ『今日新学期1発目だから、風紀点検あるよ？』
　『引っかかったらどーすんの、それ』
黒『まぁ〜そん時はそん時っしょ』

黒田はそう言って脳天気に笑った。黒田のことは正直よく分からない。行動が読めないし、どんなこと考えているのかも全く分からない。いつも明るく見えるけど、何か裏がある気がして少し怖くも感じる。
この人は今一体何を考えているんだろう。

そんな事をSHRの間もぼーっと考えていた気がする。
新学期の連絡事項を淡々と話す担任の声なんか、早々背景と化して私はずっと窓から見えるもう花びらも落ちかけの桜を見ていた。

『Aさん、先生が職員室に来てって呼んでる』

休憩時間、いつも通り机に突っ伏していた。
大体モモがしゃべりに来ない時は特に何をするということもなく、こうしてぼーっと過ごすことが多い。
そんな私の肩を叩いたのは、確か学級委員の子だったっけ？

「あ、うん」
「わざわざありがとう」

そう言った私に頷いて微笑んだ彼の顔が、
あまりにも爽やかで綺麗で、息を飲んだ。
彼が去っていく背中からしばらく目が離せなかった。

モ『なになに〜Aって檜山と仲良かったっけ？』

って何故か嬉しそうなモモがこっちにやってきた。

「別に〜」
「先生からの呼び出し、伝えに来てくれただけだから」
モ『え！？Aなんかしたの！！』
「してないよ」
「たぶん、3学期末の進路希望調査白紙で出したから」
「早く行かないとまたなんか言われそうだから、いってくるね」
モ『はいはーい、いってらっしゃい』

手を振るモモに、私も少し控えめに手を振ってみる。
いつもこんなことはしないから、
少しびっくりした様子のモモがくしゃっとした笑顔でさっきの何倍も大きく手を振った。