恋に名前を (ページ1)

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Vol.1 この春に名前をページ1

春、春は好きじゃない。

別れと出会いの季節とかよく言うけど、
出会いがない人にとっては別れの季節でしかないから。
新学年が始まるあの空気感がどうも好きになれない。
みんな自分を取り繕って表面上の交友関係を作るのに必死なあの感じ。
その空気感に刃向かう勇気もなく、自分も貼り付けた笑顔で興味のない話を無理矢理弾ませているのは事実なんだけど。

モ『いや〜でもおんなじクラスになれて良かったね』
「ちょっとモモ、机の上に乗るなら自分のにして」
モ『はいはーい』
　『相変わらずAは冷たいね〜クールって感じで』
「モモのテンションが異常に高いだけだよ」
モ『そうかな〜？』

モモは小学生の時から高校2年の今もずーっとこんな私と一緒にいてくれている。私がどれだけモモに冷たく当たってしまっても、それを受け入れてくれる人。2年は修学旅行があるから絶対一緒のクラスがいいね〜って言ってたら本当に一緒のクラスになれちゃって、私らしくないくらい喜んだのが約10分前。朝のSHRが始まるまではまだ時間に余裕があるからいつも通り雑談中。

モ『てかさ、先輩に聞いたんだけど2年からはこの時期からペアダンのペア決まりはじめるんだって』

うちの学校は7月に体育祭があって、体育祭のダンスでペアダンスをする。1年の時はペアダンスがあるなんて知りもしなかったから、ダンスの指揮をとってくれる先輩からの催促で慌ててペアを決めたのだけど、2年に上がると話は別。体育祭は7月だというのに、4月からペアダンスの相手を決めはじめるらしい。

モ『Aは誰か誘うの？』
「クラスに誰がいるのか全然知らないし、今のところは誘う気ないかな」
「別に誰とやりたいとかないし、余り物同士で組めたらいいや」
モ『そっか〜そうだよね、まずはクラスに誰がいるか把握しなきゃね』

『お〜Aとモモじゃん』
モ『黒田じゃん、黒田もB組なの？』
黒『そーそー！オレもB組！』

黒田とは去年は別のクラスだったんだけど、モモが一緒に体育委員をやっている流れで仲良くなってて、気付けば私も普通に喋る仲になっていた。それはさておき、黒田の髪の毛が金髪になっている。この前会った時は黒髪だったのに。