260.よろしくお願いします←11/17 ページ20
二宮「本日は、お忙しいところお時間を作ってくださいまして、ありがとうございます」
普段の二宮さんとは違う
伸びた背筋に
礼儀正しいその姿
当たり前なんだろうけど、今この時が彼にとっても大事な時で
そして私の母に対する尊敬的な姿勢に場違いかもだけど素直に嬉しいって…
母「こちらこそ、ありがとうございます、玄関でお話も何だがらあがってください」
二宮「ありがとうございます、失礼します」
二宮さんと挨拶に行くと伝えて
頑張ったんだろうなって…思うくらい
後ろ姿の母の後ろに見えた部屋は綺麗に片付けられてた
二宮「甘いものがお好きと聞きましたので…お口に合えば幸いです」
紙袋から出されたお菓子はお母さんが昔から好きなお店のもので
母「あら、ここのお菓子大好きなの、ありがとうございます」
前にそう言えば何気なく私が小さい時から好きだったものを聞かれたのはそれだったんだって
母「お茶を用意するのでお掛けになってお待ちになってください」
二宮「はい、ありがとうございます」
二宮さんをテーブルに案内すると
キッチンでお茶をいれている母を二人で見ていた
二宮さんも絶対に緊張してるに違いないのに
こんな時何てフォローしていいのか
初めての事ばかりにただ黙っているしかなかった
母「お待たせしました」
用意されたお茶を目の前にお母さんが席につくと
二宮「改めまして、ご挨拶が遅くなってしまい、誠に申し訳ございません」
深々と頭を下げる二宮さん
二宮「Aさんとお付き合いをさせていただいており、本日は結婚の挨拶に伺いました」
そう言うと私と目を合わせ優しくその目を細める彼
二宮「お時間を作っていただき、ありがとうございます、よろしくお願いいたします」
彼の言葉に一緒に頭を下げる
母「…二宮さん？」
お母さんの声に二人頭を同時にあげると
二宮「はい」
嬉しそうに
だけど何処か困ったように笑う母
母「まずはありがとう…そしてごめんなさいね」
二宮「え？」
その笑顔の理由が何処にあるか
母「Aから全て聞きました」
直ぐに気づいた
母「母親失格ね」
二宮さんから…そしてオーナーから全てを聞いた後、母には電話をした
「お母さん」
電話でもごめんねって私に謝るお母さん
何も責める気なんてなくて
母「本当なら私が全てAに話さなければいけない事なのに」
寧ろ私が思っていた以上に苦労をしてきたお母さんにごめんねって
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作者名：2-38
| 作成日時：2019年10月14日 11時
