222.クリームティー←10/6 ページ13
「あと、30分ぐらいしたら皆戻るので出れると思います」
松坂「それじゃ、適当に時間潰してまた来ます」
「はい」
松坂さんが一度お店から出ていってから一時間、結局私がお店を出るまでに時間がかかってしまいお店の外にいる松坂さんのもとへ急いだ
松坂さんはレンガの壁によりかかり何かの本を真剣に読んでいて
たったそれだけの事なのに"絵になる"とはこういうことなんだろうなって
「すみません、お待たせしました」
松坂「いえ、大丈夫ですよ…行きましょうか」
「はい」
バーリントン・ガーデンへ向かう道
リージェント・ストリートへ抜ける小さな路地裏
小さなパブが見えた
「こんなところにもお店があったんですね」
松坂「夜はパブなんですけど昼は美味しいスコーンが食べれるんですよ」
レディーファーストにドアを開けてくれる松坂さん
お店の中は10席くらいのテーブル席に
バーカウンター
壁にはオーナーの趣味なんだろうかモノクロの写真がいくつも飾られていて
素敵な空間だった
松坂さんはなれたように窓際のテーブル席へ
オーダーも松坂さんに全てお任せした
"クリームティー"という名前を最初に聞いた時は
紅茶に生クリームを入れるような甘い紅茶を想像したけど
実はクリームティーとは普通の紅茶とスコーンのセットのこと
松坂「どうぞ」
程なくして出て来たクリームティーのセット
松坂さんがティーカップに紅茶を入れてくれた
「ありがとうございます」
イギリスのクリームティーのスコーンは
レーズン入りやプレーンなもので
イチゴジャムとクロテッドクリームをセットで食べるのがメジャー
ふかふかのプレーンのスコーンを半分に切り
クロテッドクリームとジャムをたっぷりと塗る
お腹も実はペコペコで
口いっぱいにそれを頬張ると幸せに満たされる
「ん〜っ美味しいっ」
濃厚なクロテッドクリームが本当に美味しくて紅茶にぴったり
松坂「それはよかった」(笑)
何故か可笑しそうに笑う松坂さんにクリームが口についているのかと拭うけど違うようで
「松坂さん？」
松坂「いや…美味しそうに食べるなって」(笑)
「すっ、すみません」
松坂「何で謝るんですか」
「いえ、何か大人としてどうなんだろって」
松坂「自分が美味しいって思ったものを素直に美味しいって思ってもらえたら、嬉しいですよ」
松坂さんに
そんなふうに素直に言われたら嬉しくないわけはなく
その感情の戸惑いを消すように紅茶を口にした
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作者名：2-38
| 作成日時：2019年9月22日 9時
