220.公認浮気 ページ11
「はい」
喋りよりも必ず最初に彼のくすぐったい笑い声が鼓膜を甘く痺れさせる
「もしもし？」
二宮「出るの早っ」(笑)
私が唯一"私"だけになれる時間
二宮さんは決まって毎日この時間に
電話をくれる
二宮「大丈夫？」
イギリスは22時
だけど二宮さんのいる日本はお昼過ぎまたまだまだ仕事の忙しい時間だ
「え？」
だけどそれを欠かす事は2ヶ月間一度もない
二宮「体調が悪いって」
「櫻井さんですか？」(笑)
今さっき別れたばかりの櫻井さん
二宮「うん」
どのタイミングで情報が流れるのか…
考えるだけ無駄な事のように思えて
スマホ越しに聞こえる彼の声に集中する
「当たり前みたいな返事ですね」(笑)
二宮「当たり前でしょ、何のために浮気公認してると思ってんの」
思いがけない単語に
「うっ、浮気！？」
声がひっくり返った
二宮「例え翔ちゃんでもこんな時間まで貴女と食事なんて許せないけど、Aちゃんが心配だから」
彼に心配をかけたくないのは本当だけど
「大丈夫ですよ、ただの寝不足です、櫻井さんにもそう伝えたんですけど」(笑)
二宮さんの声を聞くだけで本当に元気になれるから
二宮「本当に？」
そこに無理も嘘もなかった
「"本当に"です」(笑)
時計を見ると5分経過
二宮さんとの電話は5分と自分の中で決めていた
もっと彼と話したい
もっと彼の声を聞きたい
それにキリはなくて
でも、仕事中であろう二宮さん
イギリスと日本の時差9時間
そこに我が儘は言えないから
「大丈夫です、でも今夜は早めに休みますね」
二宮「また、明日電話するよ」
「はい」
二宮「おやすみ」
「おやすみなさい」
電話を切ると直ぐにお風呂に入り寝るまでのしたくをする
少しだけ仕立ての作業をすると
急に睡魔がやってきて
耐えきれなくなる前に
ベッドに横になるとサイドボードからミラーキューブを手にとった
間接照明の光を反射させたミラーキューブはまるで何かの宝石の原石のように深く光を放つ
何回も向きを変えては回しの繰り返し
一面が揃う事はあっても6面全てが揃う事はなくて
これが奇跡的にそろったら
半年を待たずに二宮さんに会えるかもって…
今夜も揃わないミラーキューブを最後に目に映すと
夢でぐらい二宮さんに会えたらって
願いながらとじた瞼
だけど自分が思っている以上に疲れていた身体は
夢も見る事なく深い眠りについた
…二宮さん
貴方に会いたいです
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作者名：2-38
| 作成日時：2019年9月22日 9時
