彼のスーツを脱がす時８【NINO】 (ページ30)

今日:11 hit、昨日:13 hit、合計:275,419 hit

239.バトラーページ30

ホテルのロビーは長い廊下になっていて
チェックインカウンターがあるけど、二宮さんは済ませていたのかチェックインをせずそのまま奥へと歩いていく

部屋までも何処かの宮殿のようなエントランス

壁画や天井画に目を奪われる私に

二宮さんは黙って付き合ってくれた

エントランス前にある大階段の横にはまた社交場なんだろう紳士淑女がお酒を楽しむ姿が見えた

そして大階段をあがると最奥に見えた扉

二宮さんに向かって一人の男性がその扉の前に立ち頭を下げた

バトラー「二宮様、お帰りなさいませ」

現れた白髪の紳士的な身のこなしの男性

二宮「ただいま、あ、俺達の部屋についてくれる専属のバトラーだよ」

バトラーとは日本でいう執事

「よ、よろしくお願いいたします」

このホテルがロンドンの中でも最高級とされるのは全室に専属のバトラーがつくから

バトラー「何か御用がありましたらお声かけください」

そして見た目は何処からみても英国の人なのに日本語が美しい

二宮「ありがとう」

そして開かれた扉にロイヤルスイートに足を踏み入れた

「バトラーがいるとは聞いてましたが何だか異次元過ぎて」

この部屋も私には異次元すぎる空間で中には進めず

二宮「名前が違うだけで小山さんもじゃん」(笑)

彼が先に進んでくれるのを待ち、見えた豪華なリビングルームに気が遠くなりそうだった

「小山さんは何というか…雰囲気が優しいので」

他愛もない話に

二宮「言ったら喜ぶよ」

振り向こうとした時だった

「いつも私にまでよくしてくださって…っ」

急に背中から抱き寄せられた身体

二宮「俺は妬けるけど」

「えっ」

二宮「小山さんもここのバトラーも共通点はあるよ」

「共通点？」

二宮「例え夜中でもプライベートジェットすら
すぐに用意してくれる…有能なところ？」

くるりと返された身体に二宮さんと向かい合う

ふわっと誘いこむ甘い彼の香り

二宮「Aちゃんが今直ぐにでも日本に帰りたいならいつでも帰れるよ」

焦らすような指先に私に触れ

「二宮さん…やっぱり意地悪ですね？」

私の言葉に意図は簡単に見つけてるくせに

二宮「ん？」(笑)

はぐらかす強かな笑顔

「…二宮さんが私の帰りたい場所です」

二宮「そっか………………おいで？」

広げられたその腕に吸い込まれるように身を委ねると

二宮「おかえり、Aちゃん」

柔らかく抱き締められた

「ただいま」