彼のスーツを脱がす時 3 【NINO】 (ページ30)

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89.とびきり甘い朝食をページ30

ナプキンに

ナプキンホルダー

センターピース

モノクロだけどデザインのせいか

自然を感じさせるアイテムを取り入れて

温かみを感じる

カウンター越し

キッチンに立つ二宮さんの猫背な後ろ姿

「二宮さん、ごはんは？」

何度か迎えた朝も朝ごはんは実は一緒に食べる事なく

二宮「基本朝食は食べないの」

「そうなんですね」

それ以前にダラダラとお酒を飲みながらおつまみも食べているから空腹にもなるわけがない

ゲームもいつも私が先に寝落ちてしまうから二宮さんがいつ眠っていつ起きているかも私にはわからない

ギリギリまで寝てあわてて彼の部屋をでる

二宮「あ！でもAちゃんが作ってくれるなら食べるよ？」

「なら、今度は私が作りますね」

二宮「楽しみにしてる」

不意に振り返る彼の笑顔が甘くて溶けそうだ

二宮「お姫様は甘いのは大丈夫？」

「えっ…はい、大好きです」

二宮「よかった」(笑)

そう言って目の前のナプキンに出されたワンプレートには

グラノーラの乗った甘い香りのフレンチトースト

イチゴやバナナのフレッシュフルーツ

水切りヨーグルトには蜂蜜がかかっていた

「美味しそう」

何処かのカフェのようなお洒落な朝食に驚いた

二宮「冷めないうちにどうぞ？」

「いただきます」

冷蔵庫からとったお茶をグラスに入れると

それを持ったままにキッチンを出て私の隣のスツールに座る二宮さん

洋服といい

自分が口にするものには無頓着なのに

人へのもてなしはプロフェッショナルで

彼のあらゆるギャップに翻弄される

グラノーラをフレンチトーストの表面にまぶして焼くことで外側はサクサクで中はふんわり

ああ

幸せ…

って緩む顔に彼は私の方に身体を向けカウンターに肘をついてクスクス笑う

二宮「おいし？」(笑)

「すごく」

誰かに朝食を作ってもらうなんていつぶりだろう

二宮「あーん」

不意に口を開けた彼に

「えっ」

なんの事かはわかるも直ぐに動けない私

二宮「味見してないの、だから、ほら」

昨夜の事を思い出したらこれくらいの事だけど

意地悪く甘えられるその甘さに簡単に高鳴る鼓動

彼の可愛い唇にフレンチトーストを入れた

二宮「甘っ」(笑)

そして嬉しそうに笑う彼に胸が痺れる

「今日、二宮さんはお仕事は…」

二宮「あるよ」

「すみません、これいただいたら直ぐに帰ります」

二宮「Aちゃんとの時間が大事だから洋服までプレゼントしたんだけど、意味わかってる？」