彼のスーツを脱がす時 3 【NINO】 (ページ29)

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88.至れり尽くせり←10/9 ページ29

「これ…」

キッチンの中で手際よく何かを作っている二宮さん

二宮「ん？」

こちらに視線を向けてくれたタイミングにワンピースを指さした

「洋服…」

二宮「ああ」(笑)

楽しそうに笑うとまたキッチンに視線を戻す彼は

「ありがとうございます…すごい素敵で」

先程と変わらずにヨレヨレのTシャツ姿で
普段の彼から言ったらこのワンピースを彼がセレクトしたとは思えない

でも明らかに新品

そして私の身体にピッタリ

考えてもわからない答えを

二宮「小山さん、趣味いいからからね」

彼は曖昧な言葉にくれた

「小山…さん？」

やっぱり誰かが選んでくれたんだ

何となく他の女性が選んだ物を着るのに贅沢だけどモヤモヤするのは

私が小さい人間だからだろうか

二宮「うちの秘書」

秘書と聞いて思い出すのは須永さんで

「秘…書」

ますますモヤモヤする

きっと綺麗な人で

櫻井さんを見ていたらわかるけど仕事も出来て

そして洋服の趣味までいい

社長と…秘書…

二宮「あっ、今厭らしいの想像した？」(笑)

「違っ」

私の頭が透けて見えるのか意地悪く笑う二宮さんはどこか嬉しそうで

二宮「小山慶一郎」

「え？」

二宮「男だよ」(笑)

「えっ！？」

本当に意地悪だ

二宮「同じマンションの階下に住んでるから、朝食の食材を届ける序でにお願いした」

「男性が…」

二宮「嫌だった？」

「あっ、いえ…とても素敵なので女性の方かと」

何て言ってこんな早朝に用意してもらったんだろうかっとズレた考えが頭を巡る

不意に下着も！？って思った瞬間

二宮「下着は俺だから安心して？」

やっぱり彼はエスパーだ

「へっ」

下着は俺って下着は二宮さんが用意したってこと？どういう事か全くわからないけど恥ずかしい事だけは確かで

昨夜も彼に全てを見られたと思うと今更倒れそうだ

二宮「お腹は？」

そんな私を気づいて笑いを堪えながら助け船を出してくれた二宮さん

意地悪なんだか優しいんだか振り回される感情

「えっと、大丈…」

そして素直に答える身体はタイミングがいいのか悪いのかお腹をグーっとならす

「…空いてます」

二宮「よかった」(笑)

「すみません」

二宮「座って」

「はい」

カウンターにはモノクロな色合いで揃えられたテーブルコーディネートが既にされていて

スツールに座ると

ライトグレーのナプキンからシルバーのナプキンホルダーをとると膝にそっとかけた