彼のスーツを脱がす時 3 【NINO】 (ページ26)

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85.記憶←10/4 ページ26

「……………………ん」

痛い

二宮『Aちゃん………ほら……………もっと』

身体が思うように動かない

「にの…………み…や…さ………………………ん？」

朦朧とする意識

二宮『ご褒美…………あげるよ』

ご褒…美…………？

二宮『うん……………"俺"』

バチっと開けた目蓋にキーンっと頭に走る痛み

「…あ…れ？」

見えた視界に無意識に出た声はガサガサで喉が水分を欲していた

ふらふらする身体を起こすと抱えた頭の視界のすみに見えたベッドのサイドボードに置かれたグラスとデキャンタ

スワロフスキーのデキャンタよりも中の水が何よりも欲していてグラスに注ぐと一気に飲み干した

ここ

どこ？

辺りを見回すと信じられない広さの部屋には私が今いるキングサイズのベッドとお洒落なキャビネット

そして大きな姿見だけがあった

私………オーナーと飲んでて…

記憶を辿るも断片的

しかも何故か艶やかな二宮さんがふわふわと現れて

自分が欲求不満と言われているようで恥ずかしかった

不意に見た自分の胸元に血の気が引いた

どういうこと！？

見慣れないシャツを着ている

しかも下着もつけてない

かろうじて下は履いているけど着てたTシャツもズボンもどこ？

いつ着替えたの私

でも、瞬間的に不安にならなかったのは

二宮「おはよ…起きた？」(笑)

知らない場所でも知らない洋服でも彼の香りが安心させてくれたからだ

「おっ…おはようございます？」

部屋に入ってきた彼は既に起きていたようでメガネに相変わらずなヨレヨレのTシャツ姿だった

二宮「気分はどう？よく眠れた？」

「え………っと、はい、ぐっすり…」

って言うより記憶がないなんて口がさけても言えない

二宮「なら、昨夜の事は覚えてる？」

「え…」

さっきっから夢のように現れる二宮さんは現実？

ベッドに腰をかけ

私の髪を撫でると

頬

首筋

肩

腕

中指を何かを辿るように肌に這わせた

たどり着いた手首を優しくつかむと

親指の腹に手首の内側をそっと撫でる

二宮「…相当力入れてた？」(笑)

その言葉に

「え？」

手首を見ると赤い痣のようなあとがあった

二宮「…あと…残っちゃったね」

手首にそっと口づける彼の唇の感触にドクンっと心臓が血液を一気に流す感覚に

頭にもながれる鮮明な記憶

「あのっ…私っ」

"俺はBondageでしか興奮を得られないんだ"

二宮「ちゃんと思い出した？」(笑)