彼のスーツを脱がす時 3 【NINO】 (ページ22)

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81.彼の秘密←10/1 ページ22

二宮「こうなるから…」

私に触れた手を引くとギュッと拳に握りしめる二宮さん

彼がこんなにも辛い顔をする理由はなんなのか

二宮「貴女に触れないようにしてた」

今更だけど飲み過ぎた事を後悔した

「二宮さん？」

回らない頭

力の入らない身体

ベッドから離れようとする彼すら私は引きとめられない

「まってっ」

立ち上がった彼は浅く息を吐くと

二宮「矛盾だらけでどうにかなりそうなんだよ」

「ずっと、ずっと…どうして？って私が悪いなら…」

二宮「違う」

苦しそうに私を見下げる

二宮「こんなにも好きだから…手離せないから、だから…貴女には触れられないんだ」

好きなのに

触れられない？

「言ってる事が全くわからないです」

二宮「本当の俺と今の貴女は抱き合えないってこと」

私が彼に触れられると馬鹿みたいに動じるせい？

「え？」

二宮「…俺は人と………嗜好が違うんだ」

嗜好って…

「あの…」

その言葉の意味を考えただけで言葉につまる私に彼は優しく笑った

二宮「今夜はここに泊まって、何もしない、こんな状態で貴女を帰したら気が狂いそうになる」

今彼の気持ちを受けとめられなかったら

二宮「だから言うこときいて？」

いつ受けとめられるのか

私の元へ一度戻ると宥めるように頭をポンポンっとすると

彼は部屋から出ていこうとした

「行かないでっ」

二宮「Aちゃん」

「二宮さんが満足出来るような身体でもスキルでもないけど私はどんな二宮さんでも受けとめます」

これが正解なのかもわからないけど

私は彼をもっと知りたい

二宮「…後悔しない？」

「しません」

静に彼は扉の前から離れると私とは一定の距離をおいて唇を開いた

二宮「俺はBondageでしか興奮を得られないんだ」

「ボ……ン…デージ？」

ボンデージ…ってそう言った趣向の人が着る革の衣服が頭を過った

二宮「Rope Artist, Kinbakushi, Rigger, Rope Top…もっと解りやすく言えば…」

わけのわからない英単語ばかりでピンときていない私に彼は困ったように笑うと

部屋の奥にあるキャビネットの引き出しから何かを出した

彼はそれをくるりと指先に絡めると

絹擦れの音に

二宮「緊縛…」

彼の胸の前にピンっとはった赤いサテンのロープを見せた

その言葉の意味はわからなくとも

彼の見せたその赤いロープに危険信号が出るのに

二宮「相手を"拘束して"するってこと」

妖艶なその瞳から逃げられなかった