彼のスーツを脱がす時 3 【NINO】 (ページ16)

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75.一緒にいたいページ16

二宮「かれこれ1時間はここにいるけど…」

握られた両手

心臓は壊れそうで逃げたいくらいなのに

「えっと…ですよね」

でも、この時は終わらないで欲しい

「ごめんなさい、あまりにも綺麗で時間を忘れちゃって…」

矛盾した感情に寂しさが上回った瞬間だった

「そろそろ帰らないと…っ！？」

繋がれた手を勢いよく引かれ

必然的に彼の胸に飛び込む身体

「あっ、あの、二宮さん？」

ギュッと抱き締められた身体

二宮「違う」

耳元に寄せられた唇に柔らかな熱と低い声が甘く伝わる

「え？」

少し緩められた腕

覗きこまれた顔に鼓動がオーバヒート寸前なのに

透き通った綺麗な瞳が水面のブルーを映し

二宮「俺の家に来ない？ってこと」

更に私の心拍数を追い詰める一言を言う

「あ…………えっ………その」

家に行くって

そういう事だってことはわかるし

今までもキス以上に彼と触れた事があるわけで

今更躊躇う事もないんだけど

でも

これは彼に罪があるわけじゃないけど

どうやったって彼と私との経験値というか

私は二宮さんが今までお付き合いしてきた女性とはきっとあまりにも違う

でも

でも

冷たい夜風に撫でられ舞う髪

彼の温かな指先がそっとそれをよけてくれて

優しく目尻にシワをよせる

二宮「まだ一緒にいたい…でしょ？」

そう

「…はい」

まだ一緒にいたい

二宮「決まり、行こうか」

「はい」

引かれた手

彼は私をベンチに座らせると目の前に膝まづき

「へっ！？あのっ、二宮さん、自分で…」

二宮「いいから、大人しく甘えとくの」(笑)

置いてあったタオルで丁寧に私の脚を拭ってくれる

いつもとは違う逆転した視点

上から見る彼はいつもより可愛くて

うつむきおりる前髪の隙間から見える色素の薄い目蓋を縁取るように綺麗に並ぶ睫毛は

男の人なのに繊細で綺麗だなっとか

筋の通った鼻だけど鼻先はまあるくて子供みたいっとか

何かに夢中になると薄い上唇がキュッととがって小鳥みたいになるとか

でも

柔らかそうに見えてた髪は実は男性的で

肩幅もしっかりあって

耳から鎖骨を結ぶ首筋がしっかりしてて

私の脚にふれる指先も可愛らしく見えて間接が太くて

彼の男性の部分に魅力される

二宮「そんなジッと見られると照れるんだけど」(笑)

不意に合った視線に彼は意地悪く笑う

「すみません」

二宮「あとでお返しするから覚悟して？」

「えっ！？」