彼のスーツを脱がす時 3 【NINO】 (ページ14)

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73.秘密ページ14

二宮「暗いから気をつけて」

社長室からは入ってきたドアとは違うドアから出ると細い長い廊下を通り

階段をまた更にのぼる

「はい」

二宮「寒いかな」

そう言って彼がドアを開けるとそこは屋上だった

「わぁ…綺麗」

眺望は社長室からもわかっていたけど突き抜けた空がまた一段と夜景を綺麗に魅せた

二宮「お姫様、こっち」

「えっ」

小さなベンチにタオルを置くと二宮さんはいきなり靴と靴下を脱いだ

二宮「流石にさみぃ」(笑)

彼が慌てて入るまでそこに水…いやお湯があることに気づかなかった

二宮「暗いね、ちょっと待っててね」

バシャッバシャッと音をたてながら彼はスイッチをつけると

一面に白濁のお湯がはられていた

二宮「気持ちいいよ、Aちゃんもおいで？」

「えっ、あっ、はい」

慌てて靴を脱いで靴下を綺麗にたたんでベンチの横に置くと

ズボンの裾をおり

手を差し出してくれた二宮さんにつかまる

二宮「大丈夫？気をつけて」

ソッと入れたお湯は心地いい温度

「すごいですね、屋上にこんなものがあるなんて」

柔らかな湯気に白濁のお湯

二宮「驚くのは今からだよ」

小さなウインクをした彼

繋いだ手のままにお湯の中央へ進む

かなりの大きさで25メートルプールぐらいはきっとある

お湯は脹ら脛ぐらいの深さだから深くはない

急に止まった二宮さんは私と向かい合わせに立つと

ズボンのポケットからスマホに似た機械を出した

二宮「ここ、押してみて？」

機械の画面の右端にあるお花の絵を指差す彼

「ここ…ですか？」

二宮「ん」

緊張する指に花の絵をタップすると

「えっ何！？…二宮さん」

急に足下が暗くなって咄嗟に彼にギュっと捕まると

二宮「大丈夫だから」(笑)

彼の笑顔が綺麗な色にパッと染まるのが見えて

「なっ…………すご………い」

その七色の光に足下を見ると白濁のお湯は一瞬にして花畑に変わっていた

二宮「気に入った？」(笑)

「すごい！二宮さん、魔法使いですか！」

驚く私に

二宮「俺が職人って忘れてた？」(笑)

してやったりな笑顔の二宮さん

二宮「指で花を触ってごらん」

言われた通り水面に映し出される花に指先で触れると

花が花火の如く花びらを散らし

「えっ！？」

次の瞬間鯉が水面にゆらゆらと泳ぐのが見えた

「すごい、嘘みたい！？」

二宮「…Aちゃんが1号だよ」

「え？」

二宮「試作な段階だからね、まだ秘密」