44.ブラックカード←2/2 ページ14
「えっと、あのっ、二宮さんっ」
急に現れたと思ったら突き刺さるような店内の視線なんて全くないかのように
私の腕を掴んで店を出た二宮さん
私が何度呼んでも今まで見たこともない彼の横顔に
挫けそうになる
何か怒ってる？
思い当たるふしなんて1つもない
簡単に彼に戻ってしまう心
やっと会えたのに
こんなに近くにいるのに
早く彼から逃げたかった
乗ったエレベーターは
他のお客さんも乗っていたせいか掴まれた腕はほどかれたけど
静まりかえるエレベーターに彼に今の起きてることを何も聞けないでいた
メインロビーである2階につくと
再び彼の手が私を捕まえる
だけど今度は手だった
心臓が急速に加速したり止まったりで
どうにかなりそう
だけど2階ってことは帰れって事じゃないのかな
何処かへ一直線に歩いて行く二宮さんは
フロントに行くのかと思いきや
フロント横にあるエグゼクティブコンシェルジュと書かれたプレートの席へと足を止めた
二宮「すみません、空いてる部屋あります？」
二宮さんの言葉に席に座る紳士的なコンシェルジュも私も驚くしかなかった
「部屋！？部屋ってっ」
コンシェルジュ「あのお客様」
二宮「これじゃ、ラブホの前で揉めてる親父と若い女の子だからAちゃんはちょっと黙ってて」
「なっ」
何も言い返せない私に彼は高級感のある椅子に座ると
私でもお客様から一度しかお預かりしたことのない
二宮「すみません、大丈夫なので部屋1室お願いします…出来れば一番いい部屋にして」
ブラックカードを財布から出した
わかりやすく言うとこのクレジットカードで"買えないものはない"と言われる
クレジットカードの最高峰のランクと言われるブラックカード
コンシェルジュ「畏まりました」
カードを預かったコンシェルジュはPCのキーボード手早くうつと
待たせることなくカードキーを用意した
コンシェルジュ「案内の者は…」
二宮「いらない、ありがとう」
カードキーを受けとる彼に再び捕まる
二宮「ほら、行くよ」
エレベーターに乗り辿り着いた最上階
開かれたエレベーターのドアから続く廊下の先には両開きな重厚なドアだけが見えた
だからここには彼と私しか居ない
「二宮さんっ何考えてるんですか」
ツカツカ脚を進める彼の背に問いかけた言葉はきっと流されるものだと頭の中にあって
二宮「それはこっちの台詞」
急に振り向いた彼の言葉に心臓が止まった
二宮「何考えてるの…Aちゃんは」
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作者名：2-38
| 作成日時：2018年1月16日 10時
