彼女のルージュを落とす時１ (ページ31)

今日:7 hit、昨日:3 hit、合計:222,412 hit

30.Happiness ページ31

マリッジリングはイギリスでもらったエンゲージリングとは真逆にシンプルなものをと二宮さんが選んでくれた

アクセサリーは仕事中にはほぼ身に付けないけど、結婚指輪は特別

彼と人生をともにする証しは身につけておきたいし

作業に差し障りのない装飾は全くないシルバーのリング

二宮さんがそれを私の左手の薬指にはめると

堪えきれない涙が溢れた

上目遣いに彼を見ると

薄い唇が語るように動く

　

ア

イ

シ

テ

ル

その唇が悪戯に笑うと

ふわりとあげられたベール

堪えきれない幸せな涙に

彼の唇が重なった

ゆっくりと離れた唇に目蓋をあけると

大きな拍手の中に彼は楽しそうに笑う

二宮「お母さんに怒られちゃうかな？」(笑)

二人にしか聞こえない声に彼は私の耳元でそう言うと

「え？」

悪戯に笑った

二宮「こんな泣かせてるから」

「それはっ」

二宮「冗談」

こんな時にまで彼に振り回される感情に忙しいけど

二宮「俺のぶんも泣いておいて？」(笑)

こんな風に笑う二宮さんに幸せが溢れ出す

「まかせてください」(笑)

チャペルでの記念撮影が終わると二宮さんと一緒に控室へ

やっと二人っきりになれたと思うと今更何だか気恥ずかしくもあり

今日からこの人の奥さんになるんだって思うと不思議な感じもした

不思議と言えば…

「二宮さん、さっきのって？」

二宮「ん？」

「妬けるって何にですか？」

私の質問に彼は繋いだままの手をぎゅっと握りなおすと

意地悪く笑う

二宮「貴女の未来をもらえるなら迷わずこちらを選ぶけど俺の知らない貴女の過去もそして花嫁の貴女の手を最初にとったのも大野さんだからね」

「それを言ったら私だって…」

思わずでた言葉にまずいと止めた時には既に遅くて

二宮「え？」

控え室前に着いた筈なのに手を離してくれない二宮さん

「何でもないです」

グイっと向かい合うように身体を返され

控え室のドアと二宮さんに挟まる身体

二宮「言わないとお仕置きするよ、花嫁さん？」(笑)

試すように胸元のレースを淫らな指先に弄る彼

「二宮さんにそんな素敵なスーツを着せられるオーナーに…私はまだまだオーナーの足下にも及ばないんだって…」

急に私の左側に顔を倒すように寄せてくるから一瞬キスされるのかと思ったけど

彼はドアに手をついたままだから私には一切触れていない状態で

だけど深いため息に肩にかかる彼の息

二宮「…参ったな」