彼女のルージュを落とす時１ (ページ17)

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16.そんな君だからページ17

二宮「…でも、Aちゃんは別だよ？」

「…え？」

二宮「リアクションなんて考える必要なんてないから」

彼にとっての私は壁を作らなくてもいい存在なんだって思えたら

「嬉しいです…って、きゃッ！？」

急に引き寄せられた肩に抱き締められた身体

手に持ったワイングラスを傾けないようにと変な体勢にじっとする私とは逆に彼はクスクス笑う

「に、二宮さん？」

二宮「さすがAちゃん」(笑)

「何がですか？」

少しだけ緩められた腕に彼が私の額に額を重ねる

二宮「俺の事をよくわかってるなって」

わからない言葉の意味に彼を見ると彼は上目遣いに私を視線にも捕まえる

二宮「普通はさ？それってどうでもいいって事ってなるところじゃない」

どうでもいい存在の相手と心を許せる相手

きっと行動にしたら一緒なのかもしれない

だけど彼は違うってわかるから

二宮「貴女はそうは思わないから」

いつも私を大事にしてくれてる

だから私は彼が１番安らげる場所でありたい

二宮「だからなんだって」

二宮さんは多分世界で１番二宮さん自身の価値に気づいていない人

二宮「Aちゃん？」

だからこそいつも私でいいんだろうかって

いつか自分の価値に気づいた彼が私では物足りなくなるんじゃないかって

「…何でこんな素敵な人が私を選んでくれたんだろうって」

黙る彼は

「二宮さん？」

私の手にあるグラスをそっと取ると窓の縁に置き

二宮「俺は…」

今度は包むように優しく私を抱き締めた

二宮「ただ貴女が好きなだけ」

ただ

好きなだけ

きっと単純で１番難しい

二宮「貴女と生涯一緒にいたいと思ったから」

彼の背中に腕をまわし頷くかわりに抱き締めた

二宮「ただそれだけだよ」

耳に優しく口付けられ

二宮「だからありがとう」

反射的に彼を見ると

「え？」

私を映した瞳が甘く歪む

二宮「俺を選んでくれて」

「はい」

近づく彼の唇に目蓋をとじると

意外な場所に彼の唇が触れた

目尻に触れた唇が離れパチッと目蓋をあけると

二宮「誓いのキスはお預けだよ」(笑)

彼は意地悪く笑うから羞恥にそらしそうになった視線

「え？」

だけどそれより先に窓の外を見た彼の視線

二宮「Aちゃんが気に入ったならここで式をあげたいなって…どう？」

そこには私が思い描いていた場所に彼は綺麗に口角を持ち上げ笑う

「……………………………えっ！？」

二宮「″YES？″」(笑)

「っ！？はいっ！！イエスです！！」