6.6.皆の王子様←6/17 ページ7
櫻井「間宮！」
残業は実はそんなに嫌いではない
今の仕事も楽しいし…
「櫻井さん」
そして私の直属の上司である櫻井部長は仕事でも人間としても尊敬できる素敵な人だ
素敵なんて一言で済ませられない
容姿、学歴、仕事
そして性格
こんなパーフェクトな王子様みたいな人がいることを
櫻井さんに出会って初めて知ったって言っても過言じゃない
きっと二宮くんがいなかったら私も櫻井さんに胸をときめかせる女子社員の1人だったと思う
そんな王子様に
残業終わりに会社近くのコンビニで夕飯を買い出てきたところに呼び止められた
櫻井「今帰り？」
櫻井さんは今日は取引先の方と打ち合わせ後、直帰だったはず
「はい…櫻井さんは今日直帰でしたよね？」
櫻井「ちょっと必要な資料を取りにきただけ」
「そうだったんですね」
櫻井「……夕飯？」
私の手にもったものに視線を向ける櫻井さん
「あ…はい」(笑)
こんな時間にコンビニでって寂しい奴だと思われているに違いなくて
だけどこの歳になるとそれも恥ずかしさより笑いになる自分が余計に虚しい
櫻井「そっか…」
何故か気まづい顔をしたのは私じゃなくて櫻井さんの方で
困ったように宙を見ると襟足の髪を手持ちぶさたに掻いた
「櫻井さん？」
察する事の出来ない私の視線に困ったように綺麗な眉を下げる
櫻井「いや…一人で飯も寂しいからよかったら付き合ってもらおうかなって…」
「あ…」
櫻井「って思ったんだけど無駄になるしな」(笑)
"ごめん"って言うと手を軽くあげ帰ろうとする櫻井さんを
「あのっ！」
何故私はこの時呼び止めたんだろう
櫻井「ん？」
自分で自分の行動に驚いたけど後にはひけなくて
「えっと、あ…明日の朝御飯に回します」(笑)
櫻井「え？」
「色々お店詳しそうなので美味しいお店、教えてください」
そう言った私に可笑しそうに笑う櫻井さんはまた会社で上司として見ている大人の男性ではなく
櫻井「勿論！」
無邪気に笑うその笑顔は少年のように見えた
いくつかのお店を候補にあげ
イタリアンでも家庭料理に近いようなお店に行く事にした
櫻井「仕事抜きに間宮と食事って初めてだよな」
食事も終わりワインを飲みながら他愛もない話をする
「そうですね」
櫻井「同じ部署でも間宮いつも昼飯も一緒に出ないしな」
「それはそうですよ」(笑)
櫻井「何でだよ」
「例え他の社員が一緒でも櫻井さんと一緒にお昼なんて出たら生きていけません」(笑)
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作者名：2-38
| 作成日時：2019年5月21日 18時
