入学初日 ページ3
頭の中で時刻を知らせるアラーム音が響き、それを耳の裏にあるスイッチで止めた。
重い体と違い、妙に頭がスッキリしているのは睡眠薬が良く効いている証拠だろう。
欠伸を噛み殺しながらキッチンへ行き昨日作っておいたおかずを冷蔵庫から電子レンジへ移動させる。
スイッチを押してから即席の味噌汁にお湯を注ぎ、椀にご飯を盛った。
カロリー計算バッチリの食事は胃袋を暖める為と、今日一日を動くためだけの食事だ。
電子レンジが終わる前に仏壇の水を変えないと。
小さいコップふたつに希釈水を注ぎ、お仏壇の古いものと交換する。
少し水位の減ったコップを脇に寄せ、手を合わせていつも通り、両親へ話しかけた。
「お父さん、お母さん、私、ヒーロー科落ちちゃいました。普通科には受かったけど、普通科からヒーローになるのって多分難しいと思う。でも、ふたりみたいなヒーローになる為に、できるだけ頑張るね」
言い終わったタイミングで電子レンジが鳴る。
大きなダイニングテーブルで一人でとる寂しい食事にはもう慣れた。
ヒーローだっだ両親が小学校の時に殉職して以来、両親の遺産と親戚からの援助、そして個性でいつも視界の端にある、父が買っていた株式で生活している。
子供一人が住むには広すぎるこの一軒家の管理と学校、日々の生活を成り立たせるためには作りたてのご飯はなかなか難しいけど、不満はない。
不満を持っても意味が無い。
「いただきます」
箸を手に取り、ワンセグを起動する
良くないことと解りながらながらテレビがもはや日常となっている。
様々なチャンネルでいろんな話題が流れていたが総じて多いのが雄英高校の入学式が今日だと言う話題だ。
勿論、それはヒーロー科が脚光を浴びているだけであって私の通う普通科は学科の説明に名前を出され一言二言説明されるだけだろう。
ワンセグをぶつ切りし、食べ終わった後の食器を片付ける。
学校から許可してもらった男子用の制服をハンガーから取り外しワイシャツ、ネクタイ、パーカを着込みブレザーに袖を通した。
普通科の人間がヒーロー科に入るんだから悪目立ちするくらいが丁度いい。
切ったばかりでセットの慣れない髪の毛に乱れた部分がないか確認する。
玄関の前の鏡でもう一度確認して誰もいない家に向かって声をかけた。
「行ってきます」
返事は帰ってこない。
当たり前だ。誰もいないんだから。
扉を開けると春の気候が囁かに背中を後押しした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 146人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ダンガンロンパは推しを容易に作ってはいけない - すげえめっちゃ好きな感じの小説だあ (2021年8月23日 10時) (
レス) id: 06f475297c (このIDを非表示/違反報告)
ラヴィーチェ(プロフ) - はらさん» 申し訳ありません。私の不注意により不快な思いをさせたことを心からお詫び申し上げます。今後、このようなことが怒らないよう、最新の注意を払います。申し訳ありませんでした (2018年5月16日 8時) (レス) id: 037d8a50b7 (このIDを非表示/違反報告)
ラヴィーチェ(プロフ) - センターさん» 大変申し訳ありません！今すぐ外させていただきます。確認事項を怠った私の責任です。大変申し訳ありませんでした。 (2018年5月16日 8時) (レス) id: 037d8a50b7 (このIDを非表示/違反報告)
センター - 禁止事項とか書いてるくせにオリフラ外し忘れって…そんな事も確認しないで禁止事項とか書かれてもね。 (2018年5月16日 7時) (レス) id: 734660d926 (このIDを非表示/違反報告)
はら - オリジナルフラグ外し忘れていますよー違反行為なのでちゃんと外して下さいねー (2018年5月16日 6時) (レス) id: b28799338a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
