偽りの愛 。

3 ページ26

.



傘をさし、眉を垂らしながら俺を見る


こんな大雨の中、何やってんだ？

自分の状況を棚に上げ、不意にそんなことが頭を過ぎった


「びしょ濡れ、ですよ…？」


「ほっとけ」


どうやら大雨の中立ち尽くしている俺を不思議に思ったらしい

まぁ、誰が見たって変に思うか…


少女は心配そうな顔で俺を見上げる


早くどっか行けよ

俺に構うな

未だ側を離れようとしない少女にそう言おうとした時だ


「これ、使って下さい」


差し出されたのは黄色いハンカチ


「………」


これで拭けってのか？

全身ずぶ濡れなんだぞ？


「お前な」


バカだろ



「涙…」


「あ？」


若干イライラし始め、上から少女を睨む


「これで、拭いて下さい」


「………」


コイツは、何を言ってるんだ…？



.

4→←2

→ 目次へ｜作品を作る
他の作品を探す