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父が死んだ
私が大学生の時
警察の話では自 殺だったらしい
遺書もあったし、不振な点はなかったと
遺書には父の字でこう書かれてあった
“こんな弱い父親で申し訳ない”
“どうか幸せになってくれ”
後から聞いた話だけど、父の経営する会社は取引先からの一方的な契約の打ち切りで倒産寸前だったらしい
多額の借金だけが残り、資金繰りに困った父はそのまま首を吊った
父が自分に掛けていた保険金のお陰で借金は返済出来たけど、会社は人手に渡ってしまった
小学校の時に母が病気で亡くなってから、ずっと父と二人で生きてきたのに
とうとう私は一人ぼっちになってしまったのだ
本当なら、自 殺した父の復讐なんて考えもしなかった
だけど
父の葬儀の日
父の妹…つまり私のおばさんから聞かされた話で私の決心は固まった
取引先から一方的に契約を打ち切られ、何とかお金を工面してもらおうと資金繰りに走った父だったが
何処の銀行でもお金を貸してはもらえず、付き合いの長かった他の会社にも見放された
その原因を作ったのが、後に私の夫となる男の会社
権力で圧力を掛け、父の資金繰りの妨害をしていたと言う
どうしてそこまでしたのか…
父のような小さな会社を、どうして彼のような大企業の人間が…
その理由を知りたくて
父を奪った彼に復讐したくて
私は今、彼の隣にいる
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作者名：ポツコ
| 作成日時：2016年12月8日 20時
