天使、ブラック本丸立て直すってよ【刀剣乱舞】 (ページ10)

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其の漆ページ10

Aside

清光くんに連れられてまずやってきたのは、大和守安定さん、という刀の部屋だった。
大倶利伽羅くんほどでは無いが、所々の傷が痛々しく、前の主の記憶も消えないらしい彼は私を見た瞬間に怯えた表情になる。

『ごめんなさい、すぐ、すぐ終わらせるからね。』

なるべく刺激しないように、優しい声音で近づき強く願う。
彼が、すぐに痛みから解放されますように、と願えば、いつもの風がびゅぅ、と吹く。
不快感を感じぬ風は、どうやら安定さんもびっくりしたらしく、風がやんで目を開ければ、ぱちくりと目を見開く姿が見えた。

安「あ、りがとう。…え、清光、お前、傷無くなってる」
加「そ、主が治してくれたの。…主ありがとう。」
かつての仲間が綺麗になった姿を見て、清光くんは安心したように微笑んだ。

次に連れて行かれたのは、燭台切光忠さんと言う刀の元だった。
大倶利伽羅くんと同じく血にまみれた彼は、とても痛々しく、見ていられないほどで。

大「…頼む、」
『勿論です』

寝息を立てる彼に触るなど少し怖がらせてしまうかも、と考えたが、今は彼を治すことが最優先だ。
彼の頬に手を添え、強く念じる。
さら、と髪が揺れ、強く風が吹く。
先程のように風がやんだのを感じて目を開けば、血が滲んだ傷も、大きく切り傷になっていたものも、全て治った綺麗な燭台切光忠さんが目に入る。
心做しか、寝息も少し安定したものになったように感じて、私は胸を撫で下ろした。

その後も、粟田口組と呼ばれる方々の元に行ったり、虎徹と呼ばれる方々の元に行ったりと予想以上にバタバタしたいちにちだった。
全てが終わったのは夕方、といっても空は暗くなってきていたから夜の始まり頃だろうか。

ここに来て初めての、審神者らしい仕事に達成感を感じつつも、眠気に抗うことは出来ず、部屋まで戻る労力もなかった為その場に倒れ込むように私は寝息をたてはじめた。