子供ができました。【煉獄杏寿郎】

拾参ノ話 ページ14

Aside



「あ……え……！……ねう……！」


ん？


なんだろう。誰かが呼んでる。



「義姉上！」



千寿郎君の声が聞こえて慌てて目を開けた。


どうやら眠ってしまったらしい。


千寿郎君の目元にも隈が広がっていた。


あれから目まぐるしく日は進み、もう葬式はあっという間だった。



(懐かしい夢………。)



思い出に浸る反面、もうあの人はいないのだと実感する。



まるで眠っているようで、本当に信じられなかった。



お葬式には鬼殺隊の皆様や、お館様、お義父様の知り合いなど、様々な方が来てくださった。


私達は来る人来る人に言いたくもない死の事実を伝えた。


亡くなった人の心を話すのは残った人の役割。


仕方が無いことなのに、私の心を抉っていく。



悲しい。なのに涙は枯渇したように出てこない。


私に会う人皆が、『無理しないで』って言葉を口にする。



違うんだよ。


無理しなくちゃいけない(・・・・・・・・・・・)んだ。



私は、涙を流したいけど流したくない。

人に心配をかけてはいけないから。



涙を流してしまったら、自分の今保っている全ても流れ出してしまう。



素直に泣けない理由を構築している自分が本当に嫌いだよ。



嗚呼。また隈が酷くなっちゃうな。

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