子供ができました。【不死川実弥】

伍ノ話（誤字訂正） ページ6

Aside



「兄貴がそんなことを…………。」



玄弥君が呟く。

私はお手洗いに行き()落ち着いてきたので話を戻した。



「私……わかんないよ。


実弥の考えてる事が……」





実弥………。

実弥はあんなことを言うはずがないんだ。


実弥だって命の尊さを十分分かってるはず。





「でも、兄貴の事だからな………。


何か理由があるはずだと思うんですけど……。」





「…………………私、怖いんだよ。」




そう。怖い。とても怖いんだ。




「…………怖いって？」




「本当の事を聞くっていうこと自体が怖いの。


実弥に何を言われるかわかんない。

実弥が何を思っているのかわからない。


これは私にとっては漠然とした恐怖なの。」



私は何をすればいいのかわからない。


話を聞くにしても怖くて聞けない。




なにが″氷柱 月影Aの名において″だ。

聞いて呆れる。

結局私は弱いままだ。




この前だってそう。

柱なのにあんなに怪我をするのは私が弱いから。


私は柱の実力なんて持ち合わせてはいなんじゃないかっていつも思ってるくせして目を逸らす。



嗚呼。


私って弱い(バカ)だなぁ。





「月影さんは…………兄貴を信じてないんですか？」




「ｯ！！


…………信用してるけど、怖さが勝ってる……。」





「はぁ…………。」



え？！ちょ、ため息？！


私正直に言ったよ？！




「月影さん。絶対自分が弱いって思ってるでしょ。｣



？！

なんでわかったの？！



｢その顔は図星だな………。


俺は知ってるんですよ。

アンタの強さを。


俺は呼吸が使えないから、周りの奴らと自分をずっと比べてた。

その度に俺は心を削ってた。それをずっと隠してたのに、アンタは気づいてくれた。

元気づけてくれた。

励ましてくれた。

鍛錬を一緒にやってくれた。




他人の事を1番に思いやれる。

それがアンタの強さだと俺は思う。


だからアンタは子供を産むことを決めたんだろ。

それは兄貴も絶対に分かってる。



兄貴の思いも、きちんと聞いてほしいんだ。

俺の話を聞いてくれたように。




俺の未来の姉貴になるんだろ？」

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