子供ができました。【不死川実弥】

漆ノ話 ページ8

実弥side



おかしい………。


屋敷に帰ってくると思っていたんだが……。



あいつ相当きてるな。



本当の事を話したいのは山々なんだ。



だけど………


本当の事を話して、そのあとが問題なんだ。



あいつがこの事を受け入れられるか、あいつがこの事に耐えられるのか、心配で堪らない。



「遅すぎる………。」



思わず俺は呟いた。



あいつの知り合いで屋敷に泊めてくれる所と言ったらやはり玄弥のとこか…………。




俺があそこで本当の事を言えていたなら、こんなことにはならなかったのかもしれない。




だけど………。



だけど俺は……………。









もう二度と自分の大切な人が消えていく所は見たくねェ……！




俺は、あいつや、玄弥のために刃を振るうと決めたんだ。




『実弥！』




目を瞑れば流れ出すあいつの笑顔。


もう一生目を開けたくないと思うほど眩しい眩しい笑顔だ。

でもその笑顔が遠くに行って、手を伸ばしても伸ばしても届かない先に行ってしまった。


これは夢のようであって本当なのかもしれないと思うと体が、心が急に震え始めた。


俺は瞑っていた目を思い切り開けた。



あいつの身に何かあったらと思うと、体は勝手に動いていた。







俺は、玄弥のいる屋敷へと向かった。

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