参話 焦燥 ページ4
「……教育係とは、今年、から入った鬼殺隊員の中、でも弱い者につけられる、指導者の、こと。弱いといって、も、」
「伸びそうに無い奴にはつけられないんだ!つ、ま、り、炭治郎、お前は見込まれてるってこと!」
二人の姉弟は交互に説明する。
シロの言葉に少しだけ嬉しくなった。
そして、調子に乗る。
悪い癖ェ……
「えっ、えへへーそうかな?!」
「……調子に、乗るな。弱いのは事実なのだから。悪い所を、直すのも、仕事。例えば、君は、優しすぎる。止めを刺すのに、躊躇する。そんな、報告が、上がってる」
「んぐぅ」
図星をさされた俺は呻いて禰豆子が入っていた箱に突っ伏す。
上から降るため息を聞きながら突っ伏し続ける。
がすっ。
「いたぁっ?!」
「……鬱陶しい。グダグダと落ち込むな。落ち込むのなら努力しろ。そして強くなれ」
がすがすがすっ。
やけに流暢に話す黒百合に四度も背中を蹴られて起き上がる。
「いたいなぁ……何すっ、う、うわあああっ?!あ、足出しすぎだろ!」
後ろを振り向いた俺の前には当然俺を蹴った足があるわけで。
「……何。動きやすいの、これ。隊として命令が下ればちゃんと隊服に着替える。というか、着物の下に着ているし」
相変わらず流暢に話しながら黒百合は後ずさる。
どこかその動作がおどおどしているように見えた。
「姉ちゃんさー恥ずかしくなんならその服止めれば?」
「そっ、そんな事は無い。普通のは動きにくい」
さらに後ずさりながら黒百合はシロに反論する。
そのまま木の根に引っ掛かり尻餅をついた。
何だかそれが可愛く思えて笑ってしまった。
きっとさっき年齢を聞いたからだろう。
「…………笑うな」
黒百合は居心地が悪そうにそっぽを向いて呟いた。
「ごめんごめん。黒百合可愛いな」
「あー、姉ちゃん照れてるー!」
「うるさい」
取っつきにくそうだと思ってたんだけど、案外付き合いやすそうな子だなぁ。
「……今なにか失礼なこと思わなかった」
「だだだ、大丈夫ですぅ?!」
「む、むー!!」
禰豆子も同じ様なことを考えていたのか首を振りながら唸る。
黒百合はふーん……と言いたげな全く納得していない目で見てきた。
そこでシロが笑いながら言う。
「姉ちゃん、『失礼なこと』は思われてないんじゃね」
「…………ん」
黒百合はいかにも渋々といったようにうなずいた。
よ、良かったぁ……
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作者名:まっころん x他1人 | 作成日時:2019年8月31日 11時