白銀の刀と黒い百合【鬼滅の刃】 (ページ27)

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弐拾伍話帰還ページ27

Aはこれでもかと、ミイラになるつもりかと言いたくなるくらい涙を溢れさせている。

「うえええええん！黒百合様、はじめて笑ったぁあ！」
「なん、だ。私が、笑、うと世界が終わりでも、するのか」
「そんなことないよ」

炭治郎がふわりとそれはそれは上手に笑った。
よくわからない心地になってぽかりと叩く。
そしてシロの頭を撫でた。
シロはその手を振り払ったかと思うと、先ほどまで泣いていたとは思えないほど清々しい顔で＿＿泣いたからかもしれないが＿＿明るく笑った。

「……っし、帰るか！」
「うん」

帰ろう。
ぞろぞろと立ち上がり、ふたりぼっちになってしまったあの夜には思いもつかなかった仲間達と歩きだす。
陳腐な台詞だが、あのときの自分に言っても信じやしないだろう。
朝日に響く足音が二つだけではないなんて。
あずきたちの家に戻ると、目を腫らしたあずきの家族が待っていた。

「……おかえり！」
「ん、ただいま」

突進するように向かってきたあずきを抱き止める。
噛み締めるように繰り返した。

「ただいま」