拾玖話 罪悪 ページ21
夜のとばりが空を覆い、星や月が輝く頃。
私達は鬼を狩るために山を登っていた。
炭治郎の方からガサガサと音がして振り向く。
禰豆子が箱から出てきていた。
「あ、禰豆子、起きたのか」
「むっ！」
自然と炭治郎が禰豆子の頭を撫でている。
なんとなく隣を歩くシロを見上げた。
「？なんだよ姉ちゃん」
「いや、お前、は、可愛くないわね、と思って」
「どういう意味だ？！」
「お前、可愛いって言われて、嬉しいの？」
「そういうことじゃねぇけどさ……」
そんな風に会話をしていると、ドンッと背中に衝撃を受けた。
あずきが抱きついてきたときと同じ様な衝撃。
「むっ、むむ！」
「え、ね、ずこ、なに？」
抱きついてきた禰豆子にほんの少し目をみひらきながら問う。
背中に頭をグリグリと押し付けてくるのでくすぐったい。
「きっと黒百合様に撫でてほしいんですよー！ほら、未来の姉ですし？」
「だよなー！」
「Aさん！シロ！」
なにやら顔を真っ赤にして炭治郎が慌てている。
二人とも何を言っているんだ？
「……撫で、て、欲しいの？」
「むー！」
「…………よしよし」
大きく頷かれ、仕方なく頭を撫でてやる。
なんで私なんだ。解せない。
嬉しそうに禰豆子は手のひらに頭をすり付けてくる。
これ、私が手を動かす必要がないのでは？
「よかったな禰豆子！」
むむー！と返す禰豆子は本当に嬉しそうで。
それが、なぜかとても憎く見えた。
……何を考えているんだ、私は。
軽く頭を振ると、四人に不思議そうな顔をされた。
なんでもないと手を振ってまた歩きだす。
なんだったんだ、今のは。
全速力でたくさん走った訳でもないのに、胸が苦しい。
この感覚を、私は知っている。
『黒百合！なんでこんな危ないことしたの！！』
そうだ、ざいあくかん、だ。
……ごめん、なさい。
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作者名：まっころん x他1人 | 作成日時：2019年8月31日 11時
