検索窓
今日:11 hit、昨日:6 hit、合計:2,025 hit

拾弐話 逃走 ページ13

びびび、吃驚したぁ……

私はいつも通りの無表情で、心配するA
に地面に座りながらへらへらと笑っている炭治郎を眺めていた。

ちょっとやりすぎた?

いや、私は悪くない。

「……すまない、動揺した」

悪くないという結論を出したわりには口が勝手に動き、謝罪を言葉にする。

そんなふうに自然に言葉がでたのは久しぶりだった。

いつも少し考えてから言うから。

「いや、俺が悪いよ……こちらこそ、すまなかった」

立ち上がって服をはたいた炭治郎がいつもの笑顔で笑う。

隣でシロがにやにやしている。

鬱陶しい。

私は慌ててそっぽを向きながら言った。

「……お互い様」
「そう、か?」
「うん」
「分かった、じゃあそう言うことで」

スッと炭治郎が手を差し出してくる。

……なんだろう。

ひとまずポンと手を置いて首をかしげてみる。

隣でシロがぶっふと吹き出している。

後でしばこう。

炭治郎はむやみにあわあわして顔を赤くしながら言った。

「握手のつもりだったんだが……黒百合は可愛いな!」
「ほんとにねええええ!なんでそんなに可愛いの?!」

炭治郎と善逸に言われて目を白黒させる。

え、え、握手だったの……?

耳に熱が集まり慌ててシロの後ろに隠れた。

「そうでしょうそうでしょう!黒百合様は可愛いのですよ!」

そしてなぜお前が威張る、A。

胸をはってどや顔で言うAに心の中で突っ込みながら浅いため息をつく。

シロまでけらけらと笑いながら言った。

「はは、そう、俺の姉ちゃん可愛いんだよな」
「……あー、もう!そういうのいいから!帰るよ!!」

動揺した私の舌と口はいつもと違い滑らかに動く。

怒鳴って、前を走り出す。

「あっ、頃百合が逃げたぞ!」

なんだ頃百合って。
私は黒百合だ。

追いかけてくる伊之助の声に無声で言い返しながら走って山をおりた。

その時にはすっかり日暮れになっていて。

私たちは付近の藤の家紋の家で休ませてもらうことにした。

拾参話 深夜→←拾壱話 羞恥



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (5 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まっころん x他1人 | 作成日時:2019年8月31日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。