【呪術廻戦】とあるいかついカップルの話 (ページ4)

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しかし、Aはその印象とは反面、温厚でマイペースな性格である。

　若干天然や人見知りも入っており、何もないところで転んだり、作ったばかりの弁当をひっくり返す、絵に描いたようなドジっ子だ。挙句プライドエベレストどころかプライド更地で卑屈も入ったひねくれ具合。

　趣味は読書に水彩画、運動が苦手という訳ではないが圧倒的インドア。クラブなど行ったことは無いし海水浴やプールも小学校低学年以来ご無沙汰である。

　「お姉さん超美人だね〜！」と軽いノリで来るような男性は苦手(というか返答に困る)で恋愛も片手で数えるのも侘しい恋愛難民だ。

____にも関わらず格好や大人びた見た目ゆえに在籍している大学では噂が独り歩きしている状態である。「外国人の恋人迎えに来てたよね？どこで出会ったの？教えて〜！」と特に仲良くもない学科の同級生に聞かれた時はまったく心当たりがなく、フリーズしたのは記憶に新しい。

　とにかく、見た目から来るステレオタイプとは真逆であるのだ。

　そのため、大体の友人や知人がこういうのだ。「最初めっちゃいかつくて、綺麗だから性格キツイのかと思ったけど、優しいね！」や「喋りだしたら超礼儀正しくてびびった」「なんかふわふわしてる」などなど。そのため、自身の容姿から他人に抱かれる第一印象は聞かなくても予想ができるし、大体が呆れるくらいその通りであった。

　人は見た目によらない。自身の体験からそれを嫌という程学ぶことができた。

「あの、すみません。」

「.....？」

　バス停の人の列に並んでいたAに誰かが声をかけた。声がした方に顔を向ける。

　声の主は男性だ。身長は180cm超えているだろう上背、髪は長髪なのかお団子で、黒の学ラン(まさかのボンタン)、大きいピアス、切れ長の瞳。学ランを着てなければ学生などには見えぬ大人びた顔立ちと体格。

否、学ランを着てても違和感しかない。冴英は自身の経験上、あまり人を容姿で印象付けたくなかったが、その時は瞬間的に思ってしまった。

______いかついな、と。