降谷姉の囚われの日々【降谷零】

114 ページ24

朝、私の心と裏腹に暖かく眩しい日光がカーテンの隙間から入ってくる。



「…」



起きてもしばらく動けないでいた。
散らかるベッド上をただただ壁際にしゃがみ込んで見つめていた。



「あー……ぁ」



頭が、動かない。
ぼーっと何かに掴まれてるみたいに完全に静止している。
指を動かすのも面倒くさいと感じていた。
声もなぜか枯れている。
昨日ジンに無理やりたくさん飲まされたからだ。本当に苦しかった。
喉がイガイガする。

風邪、だろうか。




「あ…」



そういえば。

私の服はパジャマに変わっていた。ジンが着替えさせてくれたんだろう。酷いことをした癖に、優しいところもやっぱりあるんだ。

…不思議な人……。




「ジン…ジン、ジンジン…じん、じ…ん」




ジンが欲しい。どうしようもないくらい願ってる。




「ほし…ぃ……欲しい…」




届かない声は、床に落ちるだけだった。




完全に割れた音が、心のどこかで響く。




___________ _ _ ……



Noside



ジンはギョッとした。目の前の女に光が宿っていなかったからだ。




「あぁ…それでもいい」



ジンは彼女を優しく包み込む。



「いいか…よく聞け。

お前には俺しかいねェ。俺にもお前しかいねェんだ。


だから、絶対に俺から離れるなよ」




女は光のない瞳で小さく頷く。




「__________うん」





彼女が完全に落ちた瞬間だった。

115→←113

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す