降谷姉の囚われの日々【降谷零】

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ジンside



「あぁ…それでいい」



俺に執着すればそれでいい。
すきだ、と健気に伝え続けるこいつが愛おしい。
他の女ならば手を出し、自分のものだと実感するまでぐちゃぐちゃにしてしまうだろうがこいつは違う。

自分で必死に伝えてきてくれる。


それが薬の仕業だったとしても。



「ハハッ…」



あいつが朝食を作りに行き、1人になった部屋で乾いた笑い声をあげた。

嬉しいはずなのに、歓喜の声は上がらない。
あいつが俺にすきだ、と伝えて必死になっているのに感情は高ぶらない。なぜか。

そんなのわかりきっていた。



本来あの薬は、

「 」。




きっと、これを使いまくればあいつは壊れる。

いずれ精神崩壊を起こして、虚無に包まれたただの女になる。



それでもいい。



寝室から出て、キッチンに立つ美しいこいつをみる。

こいつが生きているなら俺は、



「いきなり抱きつかないでください…零してしまいます。」



「いや、愛しいと思っただけさ」



今この瞬間を歯を噛み締めて味わい、


「俺のものだ」



壊れたとしても、俺の手中に



「……」



何も言わないあいつを気にとめず、俺はその柔らかい体から離れた。

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